昨今のコンピューターウィルス
昨年よりニュースになっており、記憶されている方も多いと思いますが、医療機関をターゲットとしたランサムウェアの被害が後を絶ちません。
ランサムウェアとは、コンピューターウイルスの一種で、ファイルを暗号化するなどコンピューターを使えない状態にしてしまい、その制限を解除するために金銭を要求するソフトウェアのことをいいます。ウイルスも古くは愉快犯が多かったのですが、昨今では目的が金銭の搾取に変わり、その手口も進化の一途をたどり、単純にセキュリティの欠陥をつくだけでなく、メールを使って巧妙に人の心の隙につけ込むなど、侵入を防ぐことがとても難しくなっています。
そんなランサムウェアに、人命が関わっていることでゆすりに屈しやすい業種として、医療機関が狙われる傾向にあるのです。
ではその恐ろしいランサムウェアにどのように備えたら良いのでしょうか?その答えの一つに、各システムやファイルのバックアップを取っておくことが挙げられます。とても基本的なことですが、報道を見ていると、その基本的なことが意外にできていないことが多いように感じます。この対策であればマルウェアだけでなく、機器の故障にも備えることができ、さらにはバックアップを離れた場所に保管することができれば自然災害により本部が被災しても事業を継続することが可能になり、より強固な対策ができます。
狙われたら逃れることが難しいのが昨今のウイルス事情です。守りを固めることも大切ですが、守りきれないのであれば、発想を変えて感染することを前提にした対策をとること。ランサムウェアの報道を対岸の火事とせず、これを機に事業継続の視点も加えてしっかりと対策をとっておきたいものです。
令和4年9月1日 医療タイムス紙掲載