インボイス制度への対応
消費税のインボイス制度(適格請求書等保存方式)が2023年10月より導入されます。
医療機関が発行する領収書や請求書についても、インボイス制度に対応するべきかを考えたいと思います。
インボイスとは今までの記載事項に「登録番号、適用税率、消費税額等」を加えた書類を指します。
消費税インボイス制度を理解するための4つのポイント。
①全ての事業者は消費税の納税義務がある消費税課税事業者と、義務が免除されている免税事業者に分けられます。
②消費税課税事業者は原則「売上先から受け取った消費税額」から「仕入先に支払った消費税額」を差し引いて
消費税納税額を計算します。この差し引くものを「仕入税額控除」と呼びます。
③導入後は、従来からの帳簿の保存と、原則としてインボイスの保存が仕入税額控除の要件になります。
④インボイスを発行するには税務署に登録が必要です。ただし、登録するには課税事業者であることが条件になっています。
今回特に検討が必要なのは、企業から社員の健康診断や予防接種などを請け負っている医療機関です。
一般消費者である患者さんの場合は、患者さん自身が消費税の申告を行わないため医療機関がインボイス制度に対応していなくても問題はありません。
一方、消費税申告をしている企業や事業者では、インボイスに対応していない医療機関に支払った場合、消費税計算上支払った消費税分を差し引けず納税上不利になります。現在自院が課税事業者でない場合には、④のように自ら消費税課税事業者になり、インボイス発行事業者に登録する方法も考えられます。
ただし課税事業者になると消費税の計算、納税が必要になりますので、お早めに税理士等へ相談いただき、自院が制度対応するかどうかご検討されることをお勧めします。
令和4年7月20日 医療タイムス紙掲載