お知らせ

これからの診療所の開業

 1月10日付医療タイムスに「21年県内医科診療所開業:前年比4件増の24件」との記事がありました。
開業件数は2001年に48件でしたが、10年の16件以降大きく減り、ここ数年は20件前後で推移しているようです。
 半面、帝国データバンクが1月に発表した「21年医療機関の休廃業・解散動向(全国)」では、倒産が前年比6件増の33件、休業・廃業・解散した医療機関は567件と過去最高水準とのこと。
「診療所経営者の高齢化を背景に、休業・廃業・解散という形で事業を終える医療機関が増加。さらにコロナが加速要因」との分析でした。
 団塊の世代が後期高齢者になりつつあるなか、「開業医研究所」でも次世代への引き継ぎを踏まえ、「診療所開業をどのようにしたら良いか」との相談を多くいただきます。
06年設立以降、医業経営コンサルタント等の有資格者が中心となり、他業種連携で医科・歯科・薬局・介護施設の開業支援をしている経験をもとに、「診療所開設」プロセスで大切な点を記載したいと思います。
 まず、第一に挙げられるのは「事業計画の作成」です。診療所の開業を成功に導く鍵は、事前の綿密な計画づくりにあります。
理想的かつ実現可能な計画を練るためには、医師が頭の中に思い描いている診療所のイメージをより具体的にしていく必要があります。このイメージから策定した「基本理念」に基づいて、開業場所・設備投資の予算・資金調達方法・人員体制などが定まっていきます。
 地域によっては、医療サービスが供給過多になっているエリアも往々にしてありますから、「診療圏調査」など客観的に市場性判断をすることが重要です。
 こうした事業計画は、金融機関から必ず提出が求められます。開業するにあたって、これがなければ始まらないものとなりますが、医師がこれら全てを準備することは容易ではありません。
 そこで「医業経営コンサルタント」等が共に事業構築サポートをさせて頂きます。その後のプロセスは「開業土地探し」「建物計画」「医療機器の選定」「事業計画の作成」「資金計画の作成」「人事・採用・教育」「広告展開」「申請業務」といった実務的な動きになります。
これらについては、各業者間のスムーズな連携が重要です。業者選定は慎重になさって下さい。
「開業すれば必ず成功する」という時代ではなくなっています。将来にわたり地域に必要とされる診療所となるためには「どのような診療所を目指すのか」といった動機、つまり「経営理念」についても深く考え設定しておきたいところです。

     令和4年3月1日 医療タイムス紙掲載