医療法人の持分の評価
「持分あり医療法人」の先生方、持分の評価はされていますでしょうか。
Q.「持分あり医療法人」とは?
A.ご存知かと思いますが、2001年4月以前に設立された医療法人のほとんどは「持分あり医療法人」で、21年3月末現在も7割近くが「持分あり医療法人」です。
Q.「持分」とは?
A.医療法人の「出資持分」を指し、金銭等の出資をした者が持つ医療法人の財産権です。
Q.なぜ「持分」の評価が必要?
A.「持分」は財産権ですので出資者に相続が発生した場合には相続税の対象となりますが、出資時の価額ではなく、株式等と同様に出資持分が評価され税額計算されます。
長年経営された医療法人の場合、過去の所得が蓄積され持分の評価が高くなる場合が多く、また出資者には持分の払戻請求権がありますので、多額の払戻請求がある事も考えられます。建物や医療器械は売却が難しく、払戻請求のため経営困難な状況に陥る事もあります。評価を確認し、適切に対策を講じる事が必要です。
Q.もし「持分」の評価が高かったら?
A.出資持分評価額を下げる一例としては、先々支給される役員退職金の金額を試算し検討する方法もあります。
また、23年9月までの「認定医療法人制度」を利用し「持分なし医療法人」へ移行する事も可能です。
本制度に関しては、移行に伴う持分の相続税贈与税負担が一旦猶予される(移行後、6年経過して免除となります)メリットがあると同時に、払戻請求のリスクは解消されるものの出資者の方の財産権も無くなるというデメリットも考えられ、慎重に検討する事が必要です。
本制度の詳細は厚生労働省のHPでご確認下さい。内容の詳細と対策についてはお近くの税理士までご相談下さい。
令和4年1月10日 医療タイムス紙掲載