リフォームの税務上注意点
自宅や診療所をいずれはご家族に相続するのであれば、老朽化した建物のリフォームを生前に行うことは相続税においてメリットがあります。
相続税の評価においてはリフォーム金額の7割程度を家屋の相続税評価額に反映させる取扱い(※)になっています。仮に1千万円のリフォームを施したとすると、その7割に相当する約700万円分だけ建物の価値が増えたと評価しますので、現金で1千万円持ち続けているよりは約300万円分の相続財産を削減する効果があります。資産が多く相続税の対象になってしまう方の場合には、大きな金額がかかるリフォームは生前に行った方がお得というわけです。
大きな金額をかけて建物のリフォームを行う際に注意していただきたいのが、建物の所有者以外の者がお金を出してリフォームを行うと、お金を出した者から建物所有者への贈与などと判断されてしまうということです。
例えば親名義の建物に子がリフォーム費用を出してしまうと、子から親への贈与として贈与税の対象になってしまいます。仮に親名義の建物に子が1千万円のリフォームを施したとすると、約230万円の贈与税を親が払うことになります。
また医療法人の場合、理事長の個人名義になっている診療所建物を医療法人に賃貸しているケースが多いと思います。このようなケースで理事長個人名義の建物に対して医療法人がリフォーム費用を出した場合、医療法人から理事長への賞与とみなされて課税される恐れがあります。
このように税務上リスクが伴いますので、事前に税理士等に相談の上で対策を検討されることをおすすめします。
※国税庁「増改築に係る家屋の状況に応じた固定資産税評価額が付されていない家屋の評価」
令和3年11月1日 医療タイムス紙掲載