お知らせ

所有者不明土地の相続

 相続の際などに土地の名義変更登記をせずに放置して、所有者が分からなくなってしまう「所有者不明土地」の対策として、民法・不動産登記法などの改正が2023年から順次施行されます。
医院やご自宅の土地・建物を相続する人が決まらない恐れがある先生方に影響がありますので、改正のポイントを2点ご紹介します。
 ①土地・建物の相続登記義務化
  これまで相続登記は任意で申請期限もありませんでしたが、改正によって相続開始から3年以内の登記が義務付けられます。
 正当な理由なく期限内に登記せず督促にも応じない場合は10万円以下の過料に処せられます。
 ②相続開始から10年を過ぎると原則として法定相続分で分ける
 相続の際に遺言がない場合には相続人同士が「遺産分割協議」を行って遺産の分け方を決めます。遺産分割協議には特に期限が設けられていないため、空き家・荒れ地など処分に困る不動産を誰が相続するか決まらないまま何年も放置されることがあります。このような放置を防ぐため、改正法では遺産分割協議に10年という期限を設け、10年を過ぎると原則として法定相続割合で相続されることとされました。
 誰も相続したがらないからと相続登記せずに放置するとこのような不利益を被る恐れがあります。思い切って売却するのか、あるいは修繕を加えて賃貸するのかなど早めに対策を検討する必要があります。
 また今回の改正に伴い「土地所有権の国庫帰属制度」が新設されました。更地であること・境界争いがないことなどの条件をクリアした上で、10年分の管理費を支払えば、不要な土地を国に引き取ってもらえるという制度です。
 土地の処分に困る相続人には朗報といえそうです。

  令和3年6月1日  医療タイムス紙掲載