お知らせ

固定資産税の相続について

 毎年4月になりますと各市町村から固定資産税の納税通知が郵送されてきます。土地・建物に対する固定資産税は「賦課課税方式」といって市町村が税額を決定する仕組みです。
 ただし徴収ミスの事例もありますので一度は目を通していただきたいと思います。特に昨年中に建物を取得・増改築した、取り壊した、または土地を取得したといった動きがあった場合には、納税通知に抜け漏れなく反映されているか、住宅用地や新築住宅について税額軽減の特例措置が適用されているかなどがチェックのポイントとなります。
 近い将来に閉院し、いずれは診療所建物の取り壊しを考えていらっしゃる先生であれば、現在の病院・診療所建物の固定資産税評価額がいくらなのかというところも注目ポイントです。
 仮に閉院したとしても建物が残っている以上は固定資産税を払い続けなければなりませんし、相続税の対象にもなります。
 相続税がかかる方のケースで考えると、例えば診療所建物の相続税評価額(=固定資産税評価額×1.0倍)が700万円、取り壊し費用が300万円かかるとすると、取り壊しを生前に行った場合には700万円十300万円=1千万円の相続財産を圧縮できます。
 利用していない建物の取り壊しをしないまま相続を迎えた場合は、建物700万円に対する相続税を負担した上で、相続した人が300万円かけて取り壊しをするということになります。
 このような点も踏まえ、生涯現役で70代、80代となっても診療しやすいようにダウンサイジングのリノベーションを行うのか、あるいは余力を残して勇退し閉院後は速やかに建物を取り壊すのかなど、いくつかの選択肢について顧問税理士などを交えて検討されてはいかがでしょうか?
   
   令和3年5月20日  医療タイムス紙掲載