感染・災害対策の啓蒙
新型コロナウィルスの流行を受けて、企業の様々な「ウィズコロナ」施策が注目されるようになりました。感染症の流行という予測不能の事態への対応は容易でなく、先の令和元年東日本台風の発生や、記録的な暖冬による農作物の需給への影響など、近年は自然災害や環境変化への対応に追われる局面を迎えています。
このような状況の下、企業には事前のリスク回避に主眼を置いた環境整備型の施策が必要とされており、実際にそうした動きが出始めています。ウィズコロナ施策と併せて、「BCP(事業継続計画)」策定・取組事例として取り上げられることも多くなりました。
例えば、眼鏡チェーン「JINS」を展開するジンズ(田中仁CEO)は、東京本社から前橋第二本社への一部機能移転を検討していると明らかにしました。本社機能の一極集中を避けることで有事の機能停止を防ぐ狙いがあり、同時に地方の活性化も期待されている事例です。BCPは中小企業庁を主管として指針も示され、今や企業運営を考える上で非常に重要な要素となりました。感染症対策では、高機能換気設備や空調設備の導入補助金(環境省)やサプライチェーン対策の投資促進補助金(経済産業省)など、国レベルでの支援策も打ち出されています。
災害対策の検討においては、ハザードマップの重要性が増しています。各自治体で整備が進んでいる他、国土地理院によるウェブサービス「重ねるハザードマップ」では水害や土砂災害の危険想定区域、活断層の位置などを参照することができます。事前にデータを作成することで地図上に位置情報としてプロットすることも可能で、従来よりも一歩進んだ災害対策ツールとなっており、有効活用したいところです。
あらゆるリスクを想定し、種々の要素から立地や環境整備を検討することは、業種を問わず重要です。拠点整備を支援する立場である建設業として、地域を支える医療機関に対し安心安全に、そして永く事業を継続して頂けるよう、事前感染対策・災害対策の啓蒙活動を行って参ります。
令和2年7月10日 医療タイムス紙掲載