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準備が必要な5項目~テレワーク導入へ~

 以前から政府により推進されてきたものの、日本ではなかなか進まなかったテレワークという働き方。新型コロナウイルスの流行という止むに止まれぬ事情により、ここへきてにわかに広がっています。今まで考えもしなかった病院やクリニックでも、事務分野等で検討する価値があるのではないでしょうか。今回はテレワーク導入のために必要な準備を、5ステップに分けてご紹介します。なお、この原稿は2020年4月初旬の情報に基づいて記載しています。現在進行しているパンデミックと関係の深い分野ですので、制度等変化する可能性がありますこと、ご了承ください。
1.ルール・規程
 たとえ暫定的な措置であっても、今までまったくテレワークを実施していなかった組織で導入するには、多少なりとルール整備が必要です。まず検討したいのが、「勤怠管理」をどのように行うのかという点。この点は、Eメールを使って出退勤を報告させる等の手もあります。セキュリティの観点からのルール検討も、必ず実施してください。紙やデータをどこまで持ち出してよいのか、個人のPCを使わせるべきかなど、IT・業務それぞれに詳しい人の意見を踏まえて決めましょう。あわせて、テレワーク勤務を命じることや労働時間についてなど、職務規程を整え、所轄労働基準監督署に届け出るといった措置も必要となります。
2.ネットワーク環境
 スタッフが自宅で仕事をすることを前提とするなら、自宅にすでに入っているインターネット回線があれば利用するのがもっとも早い方法です。どんなアプリケーションを使って作業するのかにも寄りますが、このときVPN(Virtual private Network...仮想専用回線)の環境を用意しておけば、セキュリティ的にはまず安心といえるでしょう。VPNは、一般的にはオフィス側にルータを、作業に使うパソコン等にはアプリケーションを用意することで、それほどコストをかけず準備することができます。
3.パソコン等の機材
 事務系の仕事であれば、作業自体は自宅の個人パソコンを使ってもできるケースが多いでしょう。ただし、ウイルス対策ソフトが古くなっていたり、個人パソコンに重要なデータが残ってしまう等のリスクがあるため、ルール策定を忘れずに。できれば、自宅で使うパソコンまで用意し、貸し出す方が理想的でしょう。
4.アプリケーション
 オフィス側に普段使っているパソコンがある状態なら、作業するパソコンとオフィス側のパソコンを「リモートデスクトップ」でつないでしまえば、特に新たなアプリケーションのインストールは不要、データもそのままで使えます。ただし、操作がインターネット越しとなるため、動きが悪いと感じることもあるかもしれません。簡単にインストールできるものや、WEBでそのまま使えるようなアプリケーションは、作業用のパソコンに入れておくと便利でしょう。
5.コミュニケーションツール
 テレワークで一番心配なのが、コミュニケーションという方も多いのでは。ただ、この分野は発達が著しい分野ですので、さまざまな用途で使えるツールを検討するのにはよい機会かもしれません。会議等のサービスは、WEBカメラとヘッドホンさえあれば、無料で簡単に使えるものも多数。ただし、人気のサービスは今回の事態により、世界中で急激に多くの人が使うようになり、負荷が上がっているため、少しはお金を払う方が安心かもしれません。また、くだけたコミュニケーションには、業務用チャットアプリも便利です。直接対面せず、多くの情報をやりとりできる時代がきています。ITはウイルスと戦う医療現場においても、大きな武器にすることができるはすです。オンライン診療を考えるうえでも、もしかしたらスタッフのテレワークがいいヒントをもたらしてくれるかもしれません。
  令和2年5月1日 医療タイムス紙掲載