被災時に活用できる雑損控除
今年も台風や地震といった自然災害や、大阪で起こった放火による火災など、非常に悲しい出来事がたくさんありました。
このような災害等にあわれた方に対して、税金の面で優遇される措置があります。今回はその優遇措置である「雑損控除」について
ご紹介させて頂きたいと思います。
◆雑損控除とは?
自身の資産が災害や盗難などによって損害を受けた場合に確定申告することで、その損失の一部を経費のような扱いにできる
制度です。
◆雑損控除の対象となる資産とは?
納税者本人の名義のものか、総所得が38万円以下の納税者と生計を一とする親族の名義の資産が次のようなことが原因で損害に
あった場合に対象となります。
1.震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害
2.火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害
3.害虫などの生物による異常な災害
4.盗難
5.横領
詐欺や恫喝による被害は対象にはならないのでご注意ください。別荘等、通常生活を行う上で必要のない資産は対象外となります。
◆雑損控除による節税効果の試算
①差引損失額-総所得金額×10% ②差引損失額のうち災害関連支出の金額-5万円 ①か②のいずれか大きい金額が雑損控除の控
除額となります。
仮に総所得1000万円の方が、台風で自宅屋根の一部が飛んでしまった場合の損害金額が100万円、壊れた屋根の撤去費用が20万円、
保険での給付が30万円あった場合で計算してみます。
差引損害額は100万円+20万円-30万円=90万円となり、
①90万円-1000万円×10%=△10万円、②90万円-5万円=85万円となるので、雑損控除額は85万円となります。
所得税住民税率が33%だとしますと、約28万円の節税となります。
実際に被害にあわれた際には、損害金額を算出するために被害箇所の写真だけでも撮っておくことをお勧めいたします。撤去費用
等の領収書も保管しておくようにして下さい。また、災害によって多大な被害を受けた場合には、所得税が最大で全額免除となる
「災害免除法による所得税の軽減免除」という制度もあります。自然災害等にあわれた場合には、一度税理士へご相談頂ければと
思います。