税務調査のポイント
7月は税務署の事務年度のスタートの月であり、夏休みが明けた9月以降に税務調査が本格化します。税務調査は医療法人・個人経営間わず行われます。個人経営であっても年商が1億円を超えるようなクリニックであれば、特別国税調査官といって年商・課税所得の大きな案件を専門とする調査官が担当する確率が高まりますので気は抜けません。
調査で主にチェックされるポイントとしては、収入の計上漏れと経費のつけ込み(架空経費や家事費の混入など)が挙げられます。特に収入の計上漏れに関しては自由診療収入が厳しくチェックされます。医科であれば校医や知人のクリニックでのアルバイト収入、予防接種や診断書作成費用などの自由診療収入、休日当番日当や治験収入など、歯科であればインプラント治療、金属屑売却収入などが重点的に調査されます。予防接種や治験は完了してから実際に入金になるまで数カ月かかる場合もあり、決算月をまたいで収入計上してしまうと、意図的な収入の繰り延べ(いわゆる「期ズレ」)として指摘される場合もありますので注意が必要です。
調査に際しては、領収書や通帳などの会計資料だけでなく予約帳やカルテ、技工指示書や納品書とも突合しながら、収入の計上漏れがないかチェックされます。予約帳に名前があるのに収入計上がない、納品された技工物に対応する収入計上がない、予防接種に使用されたアンプル数と問診票人数の整合性が取れない、といった場合には説明を求められることになるでしょう。まだ税務調査を受けたことのないという方も、会計事務所に相談し、調査を想定しておくことをおすすめします。