予約制導入と業務の見直し~待ち時間に目を向けて~
先日顧問先の先生との会話の中で、「待ち時間が長い」と患者さんからクレームが出てしまったとのお話がありました。患者数が増え、経営が安定してきた時期だけに心配になる話でした。患者さんが医師に直接クレームを言うことは稀で、直接のクレームだったとすると何度も同じことがあったと考えられるため、しっかりとした対応が求められます。
対応する前に、待ち時間が長くなっている原因の分析が必要です。
①特定の曜日、時間帯に患者数が集中しているためか
②スタッフ不足や業務効率が悪い所があるためか
まずはこの二つの視点で行いましょう。
①の場合には、予約制導入が有効です。1時間の中で予約を入れる人数を制限し、比較的患者数が少ない時間帯へ誘導することで、どの時間帯も均等になります。慢性疾患の多い内科や整形外科だけでなく、多くの診療科で有効です。それでも予約なしで来院される方が多い月曜日の午前や、近隣クリニックが休診になっている曜日の午後は混雑が予想されるため予約人数を調整しておくなど、予約した方を待たせない工夫は必要です。
②の場合には、職種毎の業務があり、その受け持ち業務が滞るだけで、全体的な診療の遅れにつながっていることが考えられるため、各工程の所要時間の確認、遅延原因の分析が必要です。前回ご紹介したクラーク職の採用は医師の診察工程を短縮する方法として、検討できると思います。
【待ち時間を感じさせない取り組み】
待ち時間をつくらない取り組みと同時に、待つこと自体の苦痛を軽減させることも重要です。人はいつまで待つのかわからないと不安になり、苦痛に感じます。受付の際に受付番号を渡し、現在診察中の番号と、自分の番号で、待ち時間の見通しを持ってもらう方法は有効です。システム導入で、機械的に一人10分の診療時間で、現在の待ち時間○分と表示する等して、その間は自由に時間を使ってもらえるようにしている医院もあります。さらにスマホ等で閲覧できるようにして来院前から混雑状況を把握した上で来て頂くこともできるようになります。
今回は待ち時間への対応についてまとめさせていただきましたが、勿論待ち時間が一番苦しい方は具合が悪く来院している方ですので、その方にはお待たせしてしまう時間の間はベットに案内して横になっていてもらう、辛そうであれば声をかけるなど、一人ひとりに合わせた対応も欠かせませんね。一度自院でも、改善できることが無いか見直してみてはいかがでしょうか。