リフォームも設計士に相談~
病院や診療所の開業にあたり必要となる「リフォーム」について取り上げます。
「リフォーム」と言いましても小規模な模様替えから中規模の改修工事を伴うものまで様々です。まずは比較的簡易なリフォームについて。
部屋のイメージチェンジを目的とした壁紙や床材の貼替えなどはカタログから自由に選んで頂ければ良いのですが、間仕切壁の変更や開口部(窓など)の大きさや位置を変える場合は、念のため設計士に相談することをお勧めします。検討なく変更を行ったがために建築基準法や消防法に違反してしまい、後々困って相談にくる方も意外と多いものです。
設備のリフレッシュに伴ってリフォームが発生する場合が多いかもしれません。特に、医療機器の導入をする際は耐荷重の計算や電気容量の見直しが必要になる場合もあり、思わぬ費用発生や工期延長に繋がることもあるため要注意です。
また、古い空調設備や照明器具を交換することで職場環境を改善したり、省エネ効果が期待できます。最新の電気式エアコンは、石油式やガス式など他のエネルギーに比べて効率(仕事率)が高いものが多く、省エネ・操作性・安全性でも優れているようです。照明ではLED照明が主流となってきており、器具の価格も下がっています。LED照明へ交換することを検討するには良い時期でしょう。
照明のいわゆる球(電球・蛍光灯)のみをLED球に交換することもできますが、器具ごと交換をすることで、LEDのメリットである明るさや調光(光色や明暗)を十分に享受し最適な照明環境に整えたいものです。LED照明は特性上、直線的でギラつき(グレア)が発生しやすいです。ショールームなどで実物を確認することも重要です。
次は、中古物件を購入して診療所へ改造する場合や、住居部分を診療所に改修して規模を拡大する場合の留意点について。
他の用途で使用していた建物を診療所に変更する場合は、増築を伴わなくてもその規模によっては、事前申講が必要な場合があります。建築基準法で規定されている「用途変更申請」や消防法で定められた「消防設備の設置届」に該当するものです。諸手続きは設計士や建築設備士などの有資格者に依頼しましょう。
その際、古い建物の場合など老朽化により、防災設備や耐震性能が保たれていないこともあります。定期的な建物診断がされていない場合は、専門業者にて調査を行ってください。特に防災設備は毎年検査を行い、不良が発見された場合は是正処置が必要です。
中古物件などを購入する際に確認しておきたい点としては、登記簿(権利関係)以外にもあります。前所有者に、建築確認申請書類(完了検査合格証とも)や設計図面・施工図面など、建物の合法性や工事状況がわかる資料を引き継ぐよう依頼してください。特に合格証類は自動車の車検証の様なものです。
病院・診療所は不特定多数の方が利用される建物ですので、安全性を担保するために前述した資料はとても重要なものとなります。
平成30年5月20日医療タイムス掲載