地域医療連携推進で~
2018年の診療報酬改定は医療・介護のダブル改定となっており、「団塊の世代が75歳以上となる2025年とそれ以降の社会・経済の変化や技術革新への対応に向けて、平成30年度診療報酬改定により、質が高く効率的な医療提供体制の整備とともに、新しいニーズにも対応できる質の高い医療の実現を目指す」と厚生労働省の改定概要にあります。Ⅰ地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携。Ⅱ新しいニーズにも対応でき、安心・安全で納得できる質の高い医療の実現・充実。Ⅲ医療従事者の負担軽減、働き方改革の推進の推進。Ⅳ効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の強化。と4つの概要となっています。その中でも私が注目しているのはⅡの2の先進的な医療技術の適切な評価と着実な導入です。これから益々在宅療養が必要な高齢患者が増加して行きます。テレビ電話を用いた遠隔診療や訪問診療などの診療報酬項目を重視し、医療と介護の切れ目のない連携を進める「地域包括ケアシステム」の構築を推進する必要があり、それには最新のICT技術の導入が必要なのではないでしょうか。
リアルタイムなコミュニケーションが可能なICT(情報通信技術)を活用した診療について、70点(1月につき)の「オンライン診療料」の新設。100点(1月につき)の「オンライン医学管理料」の新設。「在宅時医学総合管理料」「オンライン在宅管理料」として100点(1月につき)の新設。精神科在宅患者支援管理料精神科オンライン在宅管理料100点(1月につき)の新設。在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料遠隔モニタリング加算150点(1月につき)の新設。また、在宅患者訪問診療料の死亡診断加算の算定について、ICTを利用した場合の要件を明記されました。それぞれには一定の算定要件が付いています。これからは一層医療におけるICT技術導入による情報共有が加速されると思います。
しかしながら課題もあります。診療所における電子カルテ導入率が低迷しています。平成26年度のデータですが、一般診療所の電子カルテの普及率は35%(出典 医療施設調査(厚生労働省))である事、また様々なメーカーによる開発の為のデータの互換性の低さと言う弱点があります。
質の高い医療提供体制及び地域包括ケアシステムの構築のためには、ICT(情報通信技術)の活用による情報共有は必須ですが、互換性が十分に確保されていません。これから標準的な規格に基づき、互換性の確保が必要になってくると思います。ICTの医療分野におけるより一層の貢献を期待したいと思います。
平成30年4月1日医療タイムス掲載