お知らせ

患者の利便性良いものに~

ITは情報技術と称され、日本経済の発展に大きく寄与して来ました。結果としてSNS、プログやLINE等の普及に至りますがITは経済を中心とした分野です。
ではICTはどうでしょう。一般的に情報通信技術と訳されていてどちらかと言うと公共事業、特に医療、教育、福祉や介護で特にコミュニケーションが必要とされる分野での貢献が期待される技術と言われています。
医療現場ICTもかなり普及されつつありますが、その特徴を最大限利用した形で遠隔診療の促進を図るべく厚生労働省が2017年7月14日付で遠隔診療に関する新たな通知(医政発0714第4号)を出しました。「情報通信機器を用いた診療(いわゆる「遠隔診療」について)」として禁煙外来の遠隔診療、電子メールやソーシャルネットワーキングサービス、いわゆるSNSの利用が可能としています。
平成9年に遠隔診療についての基本的考え方や医師法第20条等との関係から留意すべき事項を示した通知が出され、直接の対面診療と組み合わせて行う遠隔診療は問題無いとされていましたが、離島やへき地等で、対面診療を行うのに困難な場合のみに限定されていました。しかしながら2015年8月に医政局長名で各都道府県知事宛に出した事務連絡と今年の7月の通知を通して遠隔診療の解釈を変更しました。解釈が変更された内容を下記に要約してみました。

①直接の対面診療が困難である場合として離島、へき地の患者を挙げているがこれらは例示であること。
②「遠隔診療(例えば別表に掲げるもの)を実施する場合」として、在宅酸素療法を行っている患者を対象とする遠隔診療等を挙げているが、これらは例示であること。
③直接の対面診療と適切に組み合わせて行われる時は、遠隔診療によっても差し支えないこととされており、直接の対面診療を行った上で、遠隔診療を行わなければならないものではないこと。
また、保険者が実施する禁煙外来については、医師の判断により、直接の対面診療の必要性については柔軟に取り扱っても直ちに医師法第20条等に抵触するものではないこと。
④当事者が医師および患者本人であることが確認できる限り、テレビ電話や、電子メール、ソーシャルネットワーキングサービス等の情報通信機器を組み合わせた遠隔診療についても、直接の対面診療に代替し得る程度の患者の心身の状況に関する有用な情報が得られる場合には、直ちに医師法第20条等に抵触するものではないこと。

以上の4点ですが、③の保険者の禁煙外来と④は今回の通知で新たに追加された解釈です。しかしながら、医師法上は認められたとしても保険請求上の解釈がまだはっきりしていないので次回診療報酬改定においてどの様な点数付けが有るのか気になる所です。今後も情報通信技術の向上や画像データ連携のさらなる進歩により遠隔診療が在宅患者を含め全ての患者に利便性の高い医療になって行く事になるのか見守りたいと思います。

  平成29年9月20日 医療タイムス掲載記事