生命保険金を活用~
相続税は、亡くなられた方の相続財産が基礎控除額を上回った場合に課される税金です。この基礎控除額は3000万円+法定相続人の数x600万円で計算されます。
例えば、相続人が妻と子ども2人の場合であれば、基礎控除額は3000万円十3人x600万円=4800万円、これを上回る相続財産に対して相続税が課されます。仮に財産総額が2億円あり、妻が1/2、子が1/4ずつ相続したとすると、相続税(配偶者の税額軽減を考慮)はおよそ1350万円と計算されます。
相続税の申告期限は相続が発生してから10カ月以内です。遺言がなければ、その間に遺産分割協議といって相続人全員で誰が何を相続するか協議して合意に漕ぎつけなくてはなりません。もし遺産分割協議が整わなければ、預貯金をはじめとし.た相続財産の名義変更も進められませんので、一旦は納税資金を手持ちの預貯金から捻出するなど、相続人に負担を強いることになりかねません。
このようなケースにおいて、相続税の納税資金対策として有効なのが生命保険です。生命保険金は遺産分割の対象とならない「受取人固有の財産」として、保険金の請求手続きをすれば速やかに受取人の口座に振り込まれます。
さらに、生命保険の受取金には先ほどの基礎控除とは別枠で、「500万円×法定相続人の数」で計算される相続税の非課税枠が設けられています。先ほどの事例にあてはめて考えてみましょう。相続財産のうち500万円×3人=1500万円を生命保険に変えると、相続税は1068万円に下がります。預貯金を生命保険に変えるだけで約282万円の相続税額が減りました。
非課税の対象となる生命保険金は、「契約者」「被保険者」が本人、「受取人」が妻や子などの相続人となっているものですので、すでに生命保険は入っているから大丈夫だと思っている方も,しっかりと契約内容を確認してください。
平成29年9月1日 医療タイムス掲載