開業は外来・収支予測だけでなく~地域特性を把握して~
これから診療所を新規で開業されようとしておられる医師の方もかなりいらっしゃると思います。しかしながら開業が目立って増え始めた頃と比べますと、開業する場所もそう簡単に決定できる状況ではなくなってきています。診療圏調査をしても以前より外来患者予測数もかなり低い結果が出てきます。当然ですが、地域でのクリニック数が増加している事が要因の1つだと思われます。一時期の開業ブームと比較すればクリニック開業数はかなり減って来ていますが今後も開業軒数は現状を維持して行くのではないかと推測しております。
第6次医療計画が2017年度で終了し、2018年度から第7次がスタートします。これは第7期介護保険事業計画と同時の進行になります。医療と介護の連携をよりしやすくするのには良い方向性ではないかと思います。地域特性を重視した地域包括ケアシステムの趣旨は高齢者が可能な限り住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることが出来るように医療と介護を統合的に提供し地域完結型に移行して行く事と思われます。
また、第7次医療計画では5疾病5事業の疾病の1つの急性心筋梗塞が「心筋梗塞等の心血管疾患」に変更され対象疾患範囲を広げる仕組みになっていると思います。病院は高度急性期・急性期の様に算定要件が厳格化されて行く側と地域包括ケア病棟等を算定して行く側と二極分化して行く中、普段から様々な疾患を抱えている高齢者にとって、自分の健康管理や疾病の診断、治療をしてもらえるかかりつけ医の存在と素早い医療・介護連携が必要不可欠になって行きます。このようなかかりつけ医的診療所の開業が今後希望される所ではないでしょうか。これから新規で診療所を開業される医師の方々はこの様な地域二―ズにどの様に対応して行くべきか、また今後人口が減少して行く現状など開業する地域の将来像を見据えた準備が必要になると思います。単純な診療圏調査による外来患者数や収支予測だけの準備だけでなくその地域特性を考慮されどの様な役割を担う事になるのか等を検討する必要があるのではないでしょうか。
平成29年5月1日 医療タイムス紙掲載