職員の離職率低下を~勤務のルール見直し~
4月に入り新しい職員を迎えた医院も多いことと思いますが、依然看護師、衛生士といった有資格者の採用の厳しさは続いていますし、採用活動をしていると以前より事務員も応募者数が減少していることを感じます。
長野県の求人倍率はリーマンショック後の平成21年を下限(0.39倍)として、その後上昇に転じ現在は1.5倍程度となっていますので、求職者にとっては働きやすい職場を求められる状況になってきていると言えます。周りの様子を見ながらの昇給も必要かもしれません。今回は医療機関での職員採用についてまとめたいと思います。
先日ハローワーク求人担当者に応募が少ない理由についてお話を伺ったところ、有資格者はそもそも登録者数が少ない状況ですし、事務職も医療事務となると未経験者にはハードルが高く、また比較的一般事務職よりも終業時刻が遅いことや、土曜出勤ということも家事育児との両立をしながら働く女性にとっては働きにくさもあるとのことでした。
このような採用環境の変化を受けて、勤務を続けやすい「辞めにくい職場」にするために取り組み始めた医院がございますのでご紹介します。
①有給休暇消化率100%を目指す
子どもの行事等で休みを取りたい職員は多いと思います。その一人だけが有給を取ることは、他の職員への気兼ねにもなりますので、全員が平等に休みを取ることを推奨するようにしました。その一方で職員には同時に休みを取ることを避けてもらうことや、1人が休んでもカバーできるように、普段から職員同士で業務を補い合える体制を作っています。
②終業時間を前倒しする
職員が早く帰れるように、昼の休診時間を30分短くして、夕方の診療時間を繰り上げる変更を実施しました。夕方にしか通院できない患者さんもいるため容易に変更できない場合には、診療時間はそのままで、早上がりの職員を作るなどの工夫をしている医院もございます。
2例とも経営面から見ると躊躇する院長の声も当然と思います。しかし院長にとって、新たに採用活動をする労力や、慣れない職員が入ることでのストレスを考えると、現在の業務が分かっている職員が長く働けるための取り組みは一考の価値があると思います。昇給以外でも、働きやすい魅力的な職場にするために、医院のルール等を見直すことができないか、一度点検してみてはいかがでしょうか。
平成29年4月10日 医療タイムス紙掲載