領収書と収入印紙~法人経営薬局で必要~
今回は医療機関が発行する領収書と収入印紙の関係についてお伝えします。
代金を受け取って領収書を作成する際に、記載されている金額が5万円以上(平成26年3月までは3万円以上でした)である場合には収入印紙を貼るルールとなっています。領収書を作成する者が印紙代を負担することになっており、貼り忘れなどが税務調査などで指摘されると、作成者は貼るべきであった収入印紙の金額の3倍の金額をペナルティーとして徴収されることとなります。
そこで医療機関が発行する領収書に収入印紙を貼る必要があるのか、という質問をよくお受けします。
収入印紙がどのような場合に必要となるかは印紙税法という法律で定められており、その医療機関が個人経営か法人経営かで扱いが異なります。印紙税法には「医師、歯科医師、薬剤師等が作成する領収書は非課税扱いとする」という趣旨の規定があるため個人経営の医科、歯科、薬局では金額にかかわらず収入印紙は不要となります。自由診療の領収書であっても印紙は不要です。
法人経営の場合は領収書の作成者が医師等ではなく「法人」となるため収入印紙が必要となるところですが、医療法人は印紙税法の中で「医療法第39条に規定する医療法人が作成する領収書は非課税扱いとする」となっており、ほとんどの医療法人の領収書も保険診療、自由診療問わず収入印紙が不要となります。
注意が必要となるのは薬局です。薬剤師が個人経営で開業している薬局は先ほどの規定で収入印紙は不要となりますが、株式会社や有限会社など法人で経営している薬局は5万円以上の領収書には収入印紙が必要となりますので、長期処方や高額な薬剤を用いた処方などを扱う場合は対象となることがあるかもしれません。
まとめると、医科、歯科の医療機関は個人経営、法人経営問わず領収書の収入印紙は不要、薬局は個人経営の場合は不要、法人経営の場合は金額により必要、ということになります。
収入印紙を貼るべき領収書に貼っていない、不要な領収書に貼っているということが無いように再度ご確認ください。
平成28年12月10日 医療タイムス紙掲載