定期借地契約の土地~契約満了前に確認を~
1992年に、貸主と借主の利害調整や土地の有効利用のため借地借家法が施行され、その目玉として、貸した土地が必ず戻ってくる定期借地権制度が創設されました。この制度が施行されてから20年以上が経過しておりますので、施行後間もなく契約している場合、契約期間満了まであと数年という先生方もいらっしゃるのではないかと思います。そこで今回は、満了時期を迎える事業用定期借地権について、ご説明いたします。
◆事業用定期借地権とは?
もっぱら事業の用に供する建物(診療所)の所有を目的とする借地権で、契約期間の満了時に更新がなく、建物を自己の費用で撤去して、更地として返還するものをいいます(特約等により相違することがあります)。92年の新法の施行時には存続期間は10年以上20年以下でしたが、2008年に10年以上50年未満に改正されています。
◆契約満了を迎えてしまって大丈夫? 対処法はあるの?
この契約をそのまま放っておくと、期間満了を迎え診療所建物を取り壊し、更地にして地主さんへ返却しなければなりません。契約当初は返却するつもりであったとしても、年月が経過し自身のクリニックが地域に欠かすことのできない存在になっているなどの理由で契約期間を過ぎても、同じ場所で医院経営を継続していきたいというケースもあるかと思います。そういった場合の対処法としましては、契約期間満了後に再設定契約を行うという方法が考えられます。しかし、そのためには地主さん(賃貸人)の了承が必要になりますので、契約期間満了を迎える数年前からご相談をしていく必要があります。
地主さんからの了承があれば、双方の合意をもって今の契約を中途解約し、新たに事業用定期借地権契約を結ぶことも可能なケースもございます。地主さんからの了承が得られない場合には、原則土地を返還しなければならないので、事業を続けるためには移転計画等を考えなければならなくなります。
どちらにしても期間はかかるものですので、地主さんとの交渉は期間満了の3~4年前には進めていかれた方がよろしいかと思います。その際には、事情を分かっている元々の仲介者に、もう一度間に入ってもらうことをおすすめ致します。
平成28年9月10日 医療タイムス紙掲載