お知らせ

今後の診療報酬改定

 「保健医療2035」の提言書が厚生労働省ホームページにある。20年という長期スパンで日本の保健医療が、どうあるべきかを提言した内容です。ビジョンの1つに「より良い医療をより安く亨受できる」「地域主体の保健医療に再編する」があります。単なる負担増と給付削減による現行制度の維持を目的とするのではなく、患者に効率良く医療を提供できる方向性の診療報酬改定になっていくのでしょうか。

 平成28年度の診療報酬改定について社会保障審議会医療保険部会(平成27年10月21日)において改定の方向性が示されている。基本認識は「超高齢社会における医療政策の基本方向」「地域包括ケアシステムと効率的で質の高い医療提供体制の構築」「経済・財政との調和」であり、ここに具体的に盛り込むべき評価項目で注目したい項目を2つ上げてみたい。

 ①医療保険制度改革法も踏まえた外来医療の機能分化。大病院の専門的な外来機能の確保と勤務医の負担軽減。診療所等の主治医機能(かかりつけ医機能)の確保。
 ②門前薬局の評価の見直し。かかりつけ機能が発揮できていない、いわゆる門前薬局の評価の見直し、薬学管理や在宅医療等への貢献度による評価・適正化です。

 ①の機能分化と主治医機能の確保は地域完結型医療を達成するためには必要なステップです。しかし大型病院の病院外来患者総数の内200~299床までは82%、900床以上でも何と66.6%が紹介状を持たずに受診したとされています(平成23年患者調査)。医療機能分化は高度医療から介護サービス迄の切れ目のない医療提供を目指すには、必要でありかかりつけ医の確保が必要になります。

 ②は医療費の効率化・適正化と医療分野の充実の観点からで、社会保障審議会医療部会各委員の発言要旨の中には「調剤医療費の伸びが突出しており、医療、歯科、調剤という配分比率以上に伸びていると感じる。

 全体の中の一つとして、調剤医療費、特に調剤技術料に関してもしっかりと議論することが必要」とあります。次回は調剤技術料とかかりつけ薬局機能、在宅現場への貢献度をより重点的に評価する診療報酬改定になると思います。「保健医療2035」が目指す新しい考え方の医療保険制度へ転換して行くための診療報酬改訂となっていくのではないでしょうか。

医療タイムス紙 平成27年11月10日 掲載