お知らせ

医療法人の相続対策

今回は医療法人の理事長の相続対策についてのワンポイントアドバイスをさせていただきます。

≪役員借入金の返済を検討しましょう≫
 医療法人の設立後、運転資金等の補充のために理事長等役員が個人的な資金を法人に貸し付けをされる等で、いわゆる「役員借入金」が発生し、そのままずっと精算されることなく試算表に残り続け、放置されていることはありませんでしょうか? 
実は、この役員借入金も相続財産となることをご存知でしょうか。これも貸している個人(役員)から見れば貸付金となり立派な相続財産となります。
この役員借入金が相続財産だと気づかずに、相続が発生し、蓋を開けてみましたら多額の納税となって相続人が驚いたといった事例もございます。
この役員借入金を少しずつでも計画的に返済をしていくことが理想ですが、返済が厳しく、医療法人の赤字の累積額があるようでしたら、貸している役員が債務を放棄して、赤字の累積額と相殺をすることも一つの対策かと存じます。

≪医療法人に出資持分があれば、相続評価をしてみましょう≫
 出資持分のある一人医師医療法人の多くは理事長たる医師が出資持分のほとんどを持っており、医療法人の経営が順調であればあるほど、出資持分の含み益が多額となり、結果として相続時の評価額がとても高くなっていることが多く見受けられます。
万一、出資者たる理事長が突然亡くなられた際に、相続税対策として止む無く事業を承継しない親族にも出資持分を分散して相続をしてしまうケースもあるかもしれません。そうなりますと、後日、承継をしない親族より、出資持分の払い戻し請求権を行使され、その支払いで医療法人の資金繰り悪化を招く可能性があります。
 出資持分の評価は株式と同様に時価評価をすることになります。評価方法は決算書の貸借対照表を基に導き出される「純資産価額方式」や「類似業種批准方式」等を利用して規模に応じた計算をします。
 一度正式に評価をしておけば、次回以降の評価は比較的簡単に計算することが可能です。
 気になる方は、役員借入金の残高確認や出資持分の評価の実施を検討してみてはいかがでしょうか。

医療タイムス紙 平成27年3月10日 掲載