お知らせ

結婚・子育て資金

 昨年12月30日に平成27年度税制の改正案が公表されました。個人に対するものでは、贈与に対しての非課税措置の拡充が目立っていたように感じます。既存の制度である教育資金一括贈与の平成31年3月までの期限延長、住宅取得等資金の平成31年6月までの期限延長と上限額の引き上げ、そして新たに『結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置』が設けられる見通しとなりました。

 この制度は「結婚、出産、育児等の費用支払いのための資金を、子や孫へ贈与する場合、1,000万円までは無税で渡すことができる」というものです。教育資金一括贈与は子や孫の年齢が29歳までを対象としていましたが、本制度は20歳以上50歳未満を対象としていますので、新たな年齢への贈与の非課税措置ができた点に注目です。

 具体的な内容についてご紹介させていただきますと、教育資金一括贈与と同じく父母や祖父母等が信託銀行などの金融機関と契約を結び、子や孫名義で口座を開設し資金を一括で預け、結婚、子育て資金であることを証明する書類を金融機関に提出し、必要資金を引き出すという流れになります。贈与を受けた子や孫が50歳になった時点で口座に残金があった場合は、その年の贈与税の課税財産に含めます。また一括贈与をした父母や祖父母等が死亡した時点で、口座残金は相続財産に含めることになるようです。

 相続が発生した後に財産を調べていたら、子ども名義の通帳で預金をしていたという話はよく耳にします。名義は違えど、その通帳を子供が管理していないようなケースでは相続財産に含めなければならなくなります。皆様ご存知の通り本年1月から相続税の改正により、今までよりも多くの方に相続税の支払い義務が生じるようになっています。せっかく子供に使って欲しいと願って残したものに、相続税がかかり目減りしてしまうならば、生前に子供に使えるような形で贈与する方法も考えたいところです。贈与の選択肢が増えたことを機に他の贈与方法も含めて一度検討してみてはいかがでしょうか。

医療タイムス紙 平成27年2月1日 掲載