相続税の基礎控除額改正
昨年は消費税が5%から8%に増税という大きな改正があった年でしたが、本年も大きな税制の改正がありました。平成27年1月1日より、相続税の基礎控除額が引き下げられました。例えば、奥様とお子様が2人というご家庭の場合、今までは相続財産(亡くなった方の財産)が8,000万円以下であれば相続税が課税されませんでしたが、改正後は相続財産が4,800万円を越えると相続税が課税されます。つまり、今までより相続税を納める方が増えるということになります。
相続税の負担をできるだけ抑えるには、生前に相続財産を減少させる必要があります。対策として行われるのが、「生前贈与」ですが、贈与税の非課税限度額内(年間110万円)で資金を親族等へ移動させるという方法だけでは、時間がかかりすぎてしまう場合があります。そこで、贈与と併せてよく使われているのが、生命保険の非課税枠を利用するという方法です。
生命保険の死亡保険金を受け取った場合、保険金はみなし相続財産として相続税がかかりますが、受け取った保険金額のうち一定額(500万円×法定相続人の数)については相続税がかかりません。
例えば法定相続人が3人おり、1,500万円の預金を相続財産として残す場合、そのまま預金として相続すると、1,500万円が相続税の課税対象とされます。これに比べ、その預金1,500万円で終身保険等に加入し、死亡時に保険金として受け取る形にすることで生命保険の非課税枠を利用することができ相続税の課税対象外とすることができます。
また、生命保険を活用することによって、受取人を指定できるというメリットがあります。1,500万円を預金として残した場合、誰が相続するかは相続人の間での話し合いで決めることになりますが、受取人を指定することができるので、1,500万円の行き先を生前に決めることができ、遺産分けの際のトラブル回避にも役立たせることができます。
生命保険をご契約されている方は、ご自身の契約が相続税の対策に使えることもあるので、この機会に見直しをご検討ください。
医療タイムス紙 平成27年1月10日 掲載