スタッフの接遇研修
医療機関において常に意識しなければならない課題の一つに接遇があります。
私もクリニックの開業準備には多く携わらせて頂いてきました。開業後訪問する時にいつも気になるのが受け付スタッフの対応です。多くのクリニックにおかれましては丁寧な対応で迎えていただけますので、院内業務もうまく運んでいるのだと思っている次第です。
開業において大事な事の一つに開業地の選択が上げられます。その地域においてどの診療科目がどの程度要求されているのかを見極める必要があります。そこで診療圏調査や周辺の医療機関の現状調査をしてみます。もう一つ重要な事はスタッフの採用でしょう。スタッフは開業後、クリニックを軌道に乗せるために一緒に努力しなければならない人達なのですから。応募者の学歴、資格、職歴、家族構成、趣味といったものは履歴書にて確認が出来ますし、前職が医療機関であれば、ある程度は医療機関の一員としてあるべき姿勢がどういう物か分っているのではないかと推測は出来ます。しかし面接においてその人となりの全てを感じ取ることはなかなか難しい物です。
冒頭に申し上げましたが、特に医療機関は各種疾病から来る痛み、辛さに苛まれる患者を救う場所です。いかにストレスの無いように対応してあげるかが求められると思います。そのために接遇があるのだと思います。医師の経歴が素晴らしく患者に信頼されていても、スタッフの接遇が悪ければクリニック全体としての評価に悪影響を及ぼします。
特に新規開業時のスタッフの採用、接遇研修には注意を払いましょう。接遇は医療やレセプト、診療報酬等に関する知識と、患者にどのように接すればストレスを与えず診察がスムーズに行くか等のコミュニケーション能力の2面がうまく釣り合う事により活かされます。
採用するスタッフに関して言えば、経験が豊富であればそれだけ医療や会計に関する知識量が多く自信を持って患者に接する事が出来ます。しかし全ての応募者がこのような経歴の持ち主とは限りません。経験が豊富でなくても、面接時で好印象だった方を採用する場合も多くあると思います。接遇は接客スキルでありますので、経験の有る無しに関わらず自分で意識して習得する必要があります。そこで接遇研修が必要になります。接遇研修を請け負う専門機関が幾つもありますので、サポートしてくれる会計事務所などの意見を参考にして行う事になる訳です。
そこで注意しなければならない事があります。それは経営者つまり医師がしっかりと自院の経営方針や接遇の大切さを説明した上で研修を行う事です。特に新規開業時はこれからクリニックの方向性を築き上げる上で大切な時期です。院長先生がスタッフを方向付けして知識、コミュニケーション能力の両面を育成し、より良い接遇をスタッフに身に着けてもらうようにしましょう。また開業後は、ある程度のサイクルで接遇や院内での患者の流れ等についてスタッフを交えて話し合い、確認する必要があると思います。
医療タイムス 平成26年12月1日 掲載