個人診療所の節税対策
個人事業主として診療所を経営していらっしゃる先生方に、節税対策をいくつかご紹介したいと思います。
・30万円未満の消耗品を購入する
青色申告をしている場合は「小額減価償却資産の特例制度」が活用できます。通常10万円以上のものを購入した際には、全額をその年の経費とはせずに、その資産の耐用年数に応じて徐々に経費としていきます。しかし特例措置として、取得価格が30万円未満の物であれば、全額がその年の経費として認められます(年間300万円まで)。院内で使用するパソコンや待合室の備品などの買い替えであれば、多くの場合この特例が適用できるかと思います。
・診療所や医療機器等の修繕
診療所で使用している車や、医療機器の修繕を年内に行えば、その年の経費となります。ただし注意点としまして、その資産の価値を上げるような場合には修繕費とはされず、先ほどの10万円以上の消耗品を購入したときと同様に全額その年の経費で落とせなくなってしまいます。修繕費として一括経費となるポイントは、原状回復や維持等にかかった支出に該当するかどうか、ということです。
例えば、医院の壁を単に塗り替えた場合には修繕費とすることが出来ます。しかし、新たに防水加工を施すといったような、元々の価値を上げるような場合には全額を経費で落とす事ができない可能性がありますのでご注意ください。
・使用しない資産の除却
確定申告書類の中には、医院の固定資産を管理している固定資産台帳というものがあるかと思います。その固定資産台帳に既に処分してしまった車や、医療機器などが載っている場合、固定資産除却損という形で残りの帳簿価格を経費で落とす事ができます。一度ご確認してみて頂ければと思います。
節税対策は税金を減らす事は出来ますが、キャッシュ自体も減少するのがほとんどです。資金繰り等のバランスを考えた上で有効な節税策の実行をお勧めいたします。
医療タイムス紙 平成26年11月10日 掲載