地域包括ケアとICT
2000年4月に介護保険制度が施行されてから早くも14年が過ぎました。高齢者比率も年々その割合を増して来ています。平成26年版高齢社会白書(概要版)から引用しますと、我が国の総人口は平成25(2013)年10月1日現在、1億2730万人。そして65歳以上の高齢者人口は過去最高の3190万人(前年3079万人)で総人口に占める65歳以上人口の割合(高齢化率)は過去最高の25.1%(前年24.1%)になっております。いわゆる超高齢化社会となってきました。
それに伴い介護施設や高齢者専用住宅などの供給も着々とその数字を伸ばしてきてはいます。平成25年8月6日の社会保障制度改革国民会議では介護ニーズと医療ニーズを併せ持つ高齢者を地域で確実に支えていくためには、訪問診療、訪問口腔ケア、訪問看護、訪問リハビリテーション、訪問薬剤指導などの在宅医療が不可欠であるとし、医療・介護のネットワーク化が必要とあります。現状ではまだまだ医療と介護のネットワークと言うものは密接な連携とは感じえない部分があります。かかりつけ医と病院との連携はありますが、かかりつけ医と介護施設と病院と言ったトライアングル的な連携は現状ではまだ体感の域には到達していない感じがします。これはあくまでも個人的な感想ですが。
これから益々少子高齢化の影響により高齢者が高齢者を介護するケースや独居老人の数が増して来ます。 そこで医療と介護の連携の担い手となるケアマネージャー、保健師、社会福祉士さんなどが属される社会包括支援センターも重要な役割として挙げられますが、それともう一つICT(情報通信技術)の地域包括的な構築も考えられます。
平成26年3月31日に厚生労働省から出された「健康・医療・介護分野におけるICT化の推進について」では今後の普及・展開のための5つの取組を提示しています。①目指すべきネットワークモデルの確立・普及②在宅医療・介護を含めた標準規格の策定・普及③クラウド技術の活用等による費用低廉化方策の確立④個人による疾病・健康管理の推進⑤遠隔医療の推進です。社会保険制度を中心とした大規模データが着実に確立してきているので、それを如何に上記5つの取組により健康寿命の延伸や医療及び介護の質の向上、医療技術の発展の実現に向けて利用して行くかが課題だと思います。
これから診療所でも電子カルテが今まで以上に導入されて行かれると思います。その電子カルテがどの様にどの程度地域包括ケアネットワークに組み込まれるか電子カルテメーカーのネットワークに対する対応なども注意しながら導入する事も必要かと思います。
医療タイムス紙 平成26年7月20日 掲載