災害被害に雑損控除
少し前のことですが、今年の2月に大雪が降り各地で大雪による災害の模様が報道されていました。6月後半には各地で雹が降り、被害が出ているようです。思いがけず自然災害に遭ってしまったときに利用できる所得控除があります。来年の確定申告までは時間がありますが忘れないうちに、今回は「雑損控除」についてお話します。
「雑損控除」とは災害、盗難又は横領によって資産に損害を受けた場合等に一定の所得控除を受けることができるというものです。損害の原因としては、①震災、風水害、冷害、雪害、落雷などの自然災害 ②火災などの災害 ③害虫などの災害 ④盗難 ⑤横領(詐欺、恐喝は含まれません)のいずれかによるものに限られます。ここでいう資産とは、本人又は生計を共にしている所得が38万円以下の配偶者や親族の資産で、住宅や家具、車両、ガレージ、衣服など、生活に必要な資産を指します。クリニック等の事業用資産はこの中には含まれません。
具体的には、今年2月の大雪で瓦が割れたり、ガレージが潰れたり、あるいは雹が降ってガラスが割れたり、台風で雨どいが壊れたという時に適用することができます。また、壊れた物の解体費用や除雪費用など災害によって支払ったものについても所得控除額の計算に参入することができます。
具体的な計算方法は以下の通りです。①(損害金額+災害関連の支出額-保険金額などにより補填される金額)-(総所得金額×10%)②災害関連の支出金額-5万円。この①と②はそれぞれ計算し、金額の多い方を選択することができます。
例えば、総所得金額1,200万円の方が所有する時価300万円の車が水害で廃車になり、レッカー費用3万円を支払ったとします(レッカー代は災害関連の支出とする)。掛けていた自動車保険から150万円の車両保険が下りた場合で考えると、①(車両300万円+レッカー代3万円-車両保険150万円)-(1200万円×10%)=33万円の所得控除、②3万円-5万円=-2万円→所得控除できず。この場合、①の方が金額が多くなるため①を選択し、確定申告することができます。確定申告の際には支出した際の領収書を添付する必要があります。被害に遭わないことが1番ですが、思いがけず災害などに遭ってしまった際にはご利用いただければと思います。
医療タイムス紙 平成26年7月1日 掲載