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中小企業退職金共済 検討を

 よく「就業規則で退職金の支給をうたっているけど、実際に払えるか不安」というご相談を受けることがあります。退職金は支給した金額を経費として計上できますが、勤続年数が長いスタッフが辞めた場合は、支給額が高額になり資金繰りを圧迫してしまいます。そこで、退職が決まってから慌てないためにも、中小企業退職金共済の加入を検討されてはいかがでしょうか。

 中小企業退職金共済(以下「中退共」)とは、退職金を計画的に準備することを目的とした国で運営する積み立て制度です。掛け金はスタッフごとに決めることができ、常勤の場合は月額5千円~3万円まで、パートの場合は月額2千円~4千円まで自由に設定が可能です。退職金はスタッフ本人へ直接支払われます。加入手続きは簡単で、最寄りの金融機関または会計事務所等の委託団体にて行うことができます。

 中退共にはいくつかのメリットがあります。一点目は、計画的に退職金の積み立てができ、毎月の掛け金を経費にすることができるという点です。二点目は、助成金制度があるという点です。新しく中退共に加入した場合は、国から月額掛け金の50%(一人当たりの上限額が5千円)が加入後4ヶ月目から一年間補助されます。また、市町村にも独自の補助金制度もあります。内容は市町村ごと異なりますが、松本市を例にあげますと月額掛け金の20%(一人当たりの上限額が千円)が一年間補助されます。(よって松本市の場合ですと、最大で一人当たり月額6千円が一年間補助されることになります)

 一方で注意点もまります。中退共に加入する場合、原則としてスタッフ全員の加入が必要になる点や、掛け金の納付が2年未満の場合元本割れしてしまう点です。また、積み立てた金額は退職金として直接スタッフ本人に支給されるため、個人ごとに減額したり、不支給にするということができません。一般的に退職金は3年目より支給するケースが多いため、中退共の加入を入社2年目からにする場合がほとんどです。

 中退共に加入することは、退職金支給時の面倒な手間を省くことができ、退職金も確実に本人に支給されるため、安心かつ安全です。今後退職金規定の導入を検討されている方、スタッフの退職金の準備をまだしていないという方は中退共の加入をご検討されてはいかがでしょうか。

医療タイムス紙 平成26年6月10日 掲載