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工法と材料選び - 防災と非常時対応

 第二弾までとは若干切り口を変えますが見落としがちな内容なのでお話します。

 建物が新築される際、設計士による「防災設計」がなされ設計図に対し確認申請という法的チェックが義務付けられています。そして建物完成の際には審査機関による完了検査に合格したのをもって引き渡しとなります。当然この時点では法的にも防災性能を備えた建物です。ただし、引き渡し後に施主がカーテンやブラインドなどを取付ける場合に注意したいのが消防法上「防災カーテン」などの使用が定められているかどうかという点です。カーテンやブラインドは発生した火災の拡大速度に直結する防災上重要な要素といえます。従って、たとえ使用の制限が無くても出来るだけ「防災物品」の使用をお勧めしたいです。

 もう1つは「窓ガラス」です。既存建物を改修して使用したり、破損等によりガラスを交換修理する時の注意点です。建物の規模による法規則や所在地が防火地域等に指定されている場合は、窓やドアに網入りガラスを使用することが建築基準法で定められています。これは火災発生時に隣接する建物への延焼を制御することを目的としています。網入りガラスは普通ガラスに比べて高価なうえ、ガラス内の網(ガラスの爆裂や落下を押さえるワイヤー)が視覚上邪魔なため、つい交換時には普通ガラスにしてしまうことがあります。ただし、防犯やガラスの飛散防止を目的として網入りが選定されていることもありますので、交換や既存改修の際は設計士や工事会社に確認をしてください。次に「非常時対応」について注意点を上げてみます。広域的な地震や火災、水害を想定した非常時対応を建物に備えることは現実的には困難ですので、今回は短期間の停電や断水を前提とした準備に限定します。
 突発的な停電の場合は長くても数十分で復旧されます。治療やデータ保管に関わるバックアップ電源は必要に応じてそれぞれのメーカーや取扱い業者に設置を依頼してください。非常照明や誘導灯が設置されている建物は避難上最低限の照明は確保されます。照明の電源は器具内に蓄電池を内蔵したものがほとんどです。充電や作動の点検方法は電気工事業者等へ確認をしてください。計画停電への対応として、電源確保を発電機で行う方法があります。常設の大型エンジン発電機は設置費や維持費もかかります。対応策として、小型の移動式汎用品にて部分的に最低限を賄える様に、一般とは別の電気回路(通称G回路)を設けておくと良いでしょう。
 断水への備えは診療科目や入院患者の有無等により大きく異なるでしょう。非常時の水の使用量や重要度を想定して準備をしておきましょう。受水槽がある場合は水量の確保は出来ますが、給水にはポンプを使いますので、停電時に動きません。前述の様に発電機が使える回路を検討しておいてください。

医療タイムス紙 平成26年4月10日 掲載