厳しさ増す報酬改定
今回の平成26年度診療報酬改定では医療機関経営者にとって大変厳しい内容になっていると思います。点数配分の内容により特に急性期病院の病床転換、中小病院と診療所の主治医機能追求等への舵取りをどうするかという厳しさがあると思います。
特に今回は社会保障制度改革国民会議の報告書で改革の方向性として“医療改革は提供側と利用者側が一体となって実現されるもの。「必要なときに必要な医療にアクセスできる」という意味でのフリーアクセスを守るためには、緩やかなゲートキーパー機能を備えた「かかりつけ医」の普及は必須。”とある。この事を踏まえ、患者がいつでも自分の容体に合った医療施設に診てもらえるための機能分化や連携と在宅医療の充実が、基本方針に掲げられている診療報酬内容となっていると思います。
医療機関としては地域において自らの立ち位置をよりはっきりさせる必要性が一段と高くなったと思います。特に急性期病院で7対1の届出をしている施設ではその施設基準がかなり厳格化されています。現在ギリギリで施設基準をクリアしている病院は、次回以降の診療報酬改定でより厳しい状況に陥ると思われます。
厳しい要件の1つに退院患者の在宅への退院割合が75%以上であることの要件新設があります。紹介先も在宅強化型の受け入れ施設である事が必要になって来ます。そして総合的かつ専門的な急性期医療を担う医療機関を評価しての総合入院体制加算においても、加算1を親設し(240点/日、14日以内)高度医療の評価をしている。従来の加算は加算2として据え置かれているが、新規で加算2を届け出る場合は新設の地域包括ケア病棟入院科、地域包括ケア入院医療管理料と療養病棟入院基本料の届け出は出来ない事が条件となっている。ケアミックス型の医療機関を減じ機能分化を推し進める意図があると思われます。
もう1つ主治医機能についても考えてみたい。200床未満の中小病院と診療所を対象に設定された地域包括診療料1503点を月1回算定可能となるが、その算定要件は周知の通り大変厳しい内容である。特に在宅医療の提供および24時間の対応について、診療所に関しては①時間外対応加算1の算定、②常勤医師は3人以上の在籍、③在宅療養支援診療所であること。病院に関しては①2次救急指定病院または救急告示病院であること。②地域包括ケア入院料または地域包括ケア入院医療管理料を算定していること。③在宅療養支援病院であること。を満たす事とある。
簡単に算定できる内容でないが高齢者が増加し地域の中で急性期以外の医療を担っていく事を考えると、この厳しい内容も組み入れていく必要があると思います。
大型急性期病院はより専門的な診療への特化を目指す一方、200床未満の病院と診療所は主治医機能の役割を担っていくといった機能分化の中で病院、診療所は自分の取るべき方向性をしっかり見据えて行く必要があると思います。
医療タイムス紙 平成26年5月20日 掲載