医療機関向けの損害保険
今まで、生命保険の見直しや管理方法については都度触れてきましたが、今回は医療機関向けの損害保険の見直しや、再度確認していただきたい事項についてお話しします。
<建物に対する保険>
・建物近くに河川がなく、山際でもなく土砂崩れ・洪水被害の発生する機会が低い場合には、火災保険の補償範囲から水災補償を省くことで保険料を節減することができます。
・一般的な総合火災保険では給排水事故による水漏れ損害は補償されますが破損した給排水管自体の修理費は補償されないことがあります。修理費まで補償されるかどうか再度確認することをお勧めします。
・複数の建物を所有している場合には保険会社・補償内容・保証期間を1つにまとめることで無駄を省き、管理が容易になることがあります。
・一般的な火災保険では、風災・雪災・震災時の損害額が20万円未満の場合には保険金が支払われません。最近では自己負担額0円などに変更できる保険もあるようですので、積雪が多い地域の場合は見直しをお勧めします。
<医療器械に対する保険>
・診療所ではもしもの時に建物よりも医療器械の損害の方が高額になることが多いです。そこで医療器械や什器等の補償が適正か、毎年見直すことをお勧めします。また、リース契約で医療器械を導入している場合には、契約内に機械の補償が入っているか確認してください。
・医療器械の補償を動産総合保険でカバーしている場合の保険金は医療器械の時価がベースとなります。つまり、購入後年数が経過している場合、保険金が下りても新しい医療器械購入のために必要な金額はカバーできません。対して火災保険では新品の購入金額ベースでの支払いとなりますので保険満期の際に検討をお願い致します。
<その他、診療所に必要な保険>
・火災保険では建物損害がカバーされても、休業による収入減や、営業再開に必要な費用はカバーされません。保険料はかかりますが収入保障保険等の加入を検討することをお勧めします。
・建物、施設の管理不備により患者さんなどに損害を与えたときに使える施設賠償責任保険への加入をお勧めします。保険会社にもよりますが、月額1万円以内で補償が得られます。特にこの時期は屋根に積もった雪の落下や、雪による転倒など事故が起こりやすい時期ですのでご検討をお勧めします。
・先生がけがなどで診療できなくなった際の所得補償保険は、医師会や全国税理士共済会などで加入すると団体割引制度ができるためお得です。必要補償額を再度検討し、不足分を補う事をお勧めします。
医療タイムス紙 平成26年3月1日 掲載