老後に個人型確定拠出年金
診療所を経営されている先生から、老後資金についてのご相談を受けることがあります。
個人診療所を経営されている先生は公的年金制度が国民年金となるため、厚生年金に比べ掛金も少なく、リタイア時の退職金もないことから自助努力で老後資金を効率的に確保したいものです。
診療所で得た所得には所得税と住民税が課税されるため、所得金額に応じて約15~50%の課税がされた後に手取りが残ります。この貴重な手取りを老後資金の蓄えとして積立てることが一般的ですが、将来の老後資金の積立が確定申告の際に所得控除となる制度をご存知でしょうか?
お勧めする制度は「小規模企業共済」と「個人型確定拠出年金(401k)」です。確定申告書をご覧いただき「小規模企業共済等掛金控除」という欄が空欄であれば、まだこの制度をご利用になっていない可能性があります。小規模企業共済はこのコーナーで以前に取り上げましたので今回は個人型確定拠出年金をご説明します。
個人型確定拠出年金(401k)は原則60歳まで掛金を支払い、その掛金を60歳以降に年金や一時金で受け取る制度です。特徴としては掛金が全額確定申告時の所得控除になり、将来受け取る際にも税金の優遇があります。掛金の運用を自身で決定でき、その運用成果によって掛金よりも多くの額を受け取ることもできますが、その反面元本割れをするリスクもあります。また、月々管理手数料がかかることが多く、ランニングコストが発生します。
国民年金の加入者は年間最大816,000円(国民年金基金に加入している場合はその掛金との合計金額)の所得控除を受けることが出来ますので、税率が33%の方であれば、年間269,200円の税額が節約できます。これだけの大きな節税を行いながら将来の積立が出来るため非常に有利な制度と言えます。
運用についてリスクを避けたいのであれば「元本確保型」という運用商品を選ぶことをお勧めします、大きな運用益は期待できませんが節税効果を得ることが出来るので、この方法でも十分メリットを享受できるはずです。
個人型確定拠出年金(401k)は金融機関や保険会社などで加入することができます。制度の特徴をご理解いただいたうえでご加入を検討されてみてはいかがでしょうか。
医療タイムス紙 平成26年1月20日 掲載