工法と材料選び-屋根
病院や診療所の新築や改良に際して、工法と材料選びのポイントを3回に渡ってご案内いたします。第一弾は「屋根」について。
建物の外回りに使われる建材は長期に長期に渡り太陽光や雨風にさらされることから「耐久性」が最も重要です。
一般的に硬質なものは「耐久性」に優れる傾向があります。ガラスや石・タイル・瓦などは建築材料として「耐久性」に優れたものといえます。反面、弱点として「もろさ」もあります。施工方法や防護装置・破損した場合の安全策など注意すべき事項を設計士や施工会社と十分に協議して利用することをお勧めします。一方、柔らかい素材のもの(木材や発泡スチロールなど)は断熱性能が高く、味わいや細かな細工に優れます。反面衝撃や劣化に弱いため保護材の施工や念入りな手入れが必要となります。
このように建材には一長一短の両特性があるので、適材適所を見極めながら安全性やデザイン・メンテナンスにかかるコストも考慮し選定することをお勧めします。
一番ご留意頂きたいのが「屋根」です。「屋根」には長期に渡り防水性能を維持させなければなりません。ここで、屋根工法として代表例を2種ご紹介します。
一つ目は「傾斜屋根」と呼ばれ住宅などに多く見られる方法です。瓦や鉄板を重ねて雨水を建物外周部に流す方法です。
「瓦」は焼成によって造られる焼き物なので丈夫でデザイン上の雰囲気を醸し出せます。ただし、屋根勾配が比較的急斜面になり屋根の重量も重くなり、構造体が大きくなる特性があります。一方「鉄板」は色や形状のバリエーションが豊富です。屋根勾配も比較的緩くでき外観デザインの自由度が広がります。ただし、表面をコーティングしている塗装などが剥がれたり劣化してくることがあり、鉄自体が錆び穴あきに至ると雨漏りの原因になります。
通常10年程度のメーカー保証(塗装に限って)がありますが、定期的に施工会社に点検を依頼して状況確認をしていくことをお勧めします。
二つ目は屋根面が平らな「陸屋根」と呼ばれるものです。屋根が鉄板や樹脂シート・防水塗料によって覆われた「お盆」をご想像ください。「傾斜屋根」のように大きな天井裏が必要なくなり屋根裏が必要なくなり屋根利用ができます。限られた敷地で、高さ制限内で階数を増やしたり床面積を多くとれるメリットがあります。ただし、屋根に降った雨水や雪が長期間とどまる方法なので、防水面を確実に作るための設計と施工技術が不可欠です。防水材料の劣化も即時に雨漏れを生じさせ易いので、メンテナンスが重要となってきます。
医療タイムス紙 平成25年11月20日 掲載