医院承継時の設備投資
前回医院継承時の注意点を抜粋して紹介させていただきました。今回は前回に引き続き医師、歯科医師になられたお子様に医院を承継する際にポイントになる、建物の問題と建物所有と相続税についてご紹介致します。
(1)建物の問題
若先生が戻って来る時に一番に課題になるのが医院の建物です。最近の医院は歩行が困難な方へ配慮した広いトイレや、歯科ですとプライバシーに配慮したパーテーションや個室が目立ちます。冬の寒さに対して、待合や診察室をいかに省コストで暖められるか皆さん工夫されているところです。その他、運転が不得意な方でも利用しやすいようにゆったりとした駐車場を設ける医院が目立ちます。これから何十年と現役が続けられるような医院建物にするためにはリニューアルが適しているのか、新築が必要なのか建設会社と相談できると良いと思います。
(2)建物所有と相続税
個人事業の医院で事業承継を期に新たに医院を建てる場合、所有者はこれから事業主となる若先生と考えるところですが、もし大先生が財産をお持ちで相続税対策が必要であれば、大先生が建築し、若先生に貸し付けることで相続税の節税効果が期待できます。将来大先生がお亡くなりになり、相続になった場合、建物は実際の建築費や取得価格よりかなり低い評価額になるため現預金を相続財産として持つよりも、建物として持つことで相続財産が減り節税が可能になります。また相当の家賃を払っていれば、建物の評価額は賃家評価額となりさらに3割評価額を減らすことができます。なお土地についても一定の評価減の適用があります。
今回建物の問題点や医院新築の場合の相続税についてご紹介致しましたが、医院承継では既存財産の承継に加えて、新たな設備投資も必要になりますので贈与税や相続税への影響を考慮する必要があります。贈与や相続は家族や他の財産の状況で判断が異なってきますので、納得した承継ができるように早めに税理士と相談、検討されることをお勧めします。
医療タイムス紙 平成25年11月10日 掲載