お知らせ

小規模薬局の事業展開

 平成24年度の調剤医療費(電算処理分に限る)は6兆5902億円(対前年度同期比+1.2%)で、処方せん1枚当たり調剤医療費は8400円(▲0.3%)であった。調剤医療費の内訳は、技術料が1兆7020億円(伸び率+3.6%)、薬剤料が4兆8771億円(+0.4%)で、特定保険医療材料料が112億円(+1.0%)であった。処方せん1枚当たり調剤医療費全体は8400円(伸び率▲0.3%)で、その内訳は、技術料が2169円(+2.0%)、薬剤料が6217円(▲1.1%)で、特定保険医療材料料が14円(+1.8%)であった。【出所:厚生労働省、調剤医療費(電算処理分)の動向】

 6兆円をはるかに超える調剤市場ではあるが、そのうち大手6社の調剤薬局市場は5千億円を超えてくる。それは調剤医療費の約7.7%に達する(各社IRを参考)。残りの数字は他の薬局で売り上げる事になります。2011年度の薬局数は54780件(日本薬剤師会の現況2012-2013より)ですが、そのほとんどが小規模な個人事業者である個人薬局になるわけです。

 その小規模薬局の現状としては経営者の高齢化による後継者と相続問題が出てきています。また大手調剤薬局は門前型店舗とは別に面対応型店舗を合わせて今後も事業展開していくとともに、上述した個人経営の店舗のM&Aによる売り上げ増額を目指して行く戦略があります。つまり個人店舗経営、小規模複数店舗経営の事業者にとっては厳しい事業展開が待っています。

 この状況を乗り切るには、地域医療、介護との連携つまり在宅医療への取り組みを検討するのも1つの方法だと思います。在宅医療への進出は在宅訪問を意味し地域患者とのコミュニケーションを深めることになります。当然ながら患者の服薬状況も大幅に改善されることになるでしょう。地域とのコミュニケーションを深める事が大切になります。
 また介護施設やサービス付高齢者住宅での処方せん獲得に向けての営業も重要になります。これも地域に密着する事で質も上がる事になるでしょう。
 もう一面は消費税増税や薬価改定による直接的な収益減少要因に対する対策。ジェネリック医薬品や新薬の在庫増を管理するための在庫管理システムの導入などが必要になって来ると思います。このように小規模ならではの特性を活かし困難な市場での事業継続を可能にしましょう。

医療タイムス紙 平成25年10月20日 掲載