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中小企業倒産防止共済の活用

 今回は個人経営の医療機関が節税対策として活用できる制度をご紹介したいと思います。

「中小企業倒産防止共済」と呼ばれる制度です。この共済は取引企業の倒産により経営難に陥ったり連鎖倒産とならないように、積立てた共済金額の10倍まで無利子無担保で借入れることが出来る制度です。
 ここまでお伝えすると「医療機関は取引先の倒産で収入が無くなることはないから関係ない」と言われてしまいますが、本来の備えという機能は使わなくとも、この制度は使い方によっては節税効果を期待できます。
 中小企業倒産防止共済は月額5,000円~20万円までの範囲で掛金を選択し、最大で累計800万円までの範囲で掛金を積立てることが可能です。掛金は医療機関の必要経費として扱うことが出来るので最大800万円の積立を経費として準備することができ、さらに積立てた共済金は加入後40ヶ月以上経過していれば共済契約を解約した際に積立金額の100%が戻ってきます、積立金を受け取るときには医療機関の収入として取扱われます。
 共済の掛金は必要経費、解約した際の積立金の受け取りは収入と考えると、経費になったものが将来収入で戻ってくるので、長い目で見ると利益の先送りとも言えます。しかし税金の課税の仕組みを理解して長期間で活用すると節税効果が発生します。

 個人経営の医療機関に対する税金は「累進課税」と呼ばれ、医療機関の所得(利益)が少ないほど税率が低く、所得が多いほど税率は高く課税される特徴があり、所得税と住民税合わせて約15%~約50%の税率で課税されます。(平成27年度以降は最高税率が約55%)
 好調な経営を維持して最高税率の約55%を課税させる先生も、遠い将来、引退直前には現在よりも患者数が減り、所得も減少して役33%ほどの課税になるかもしれません。そのような想定で考えれば、高い税率の時に必要経費として共済の掛金を支払い、将来税率が下がった時に解約をして収入として受け入れれば、税率の差が約22%あるので、800万円積立てたとすると、800万円×約22%=約176万円の節税効果が得られます。
 現在税率が高くお困りで、長期間積立て可能な資金がある先生はご検討されてはいかがでしょうか。

医療タイムス紙 平成25年10月10日 掲載