診療圏と中長期的戦略
現在、長野県の各地域で開業されている医療機関の数は病院132件、診療所1331件(ウェルネスにて検索・平成25年8月10日現在)である。医療機関の存在そのものは2次医療圏の中にあり、その医療機関と介護施設を包括的に連携させて医療・介護を推し進めて行く計画、地域包括ケアシステムが盛り込まれている。
しかし2次医療圏のバランスが現在は崩れているのは周知の事である。つまり他の医療圏への患者の流出と他2次医療圏からの患者の流入である。この様な状況の中では、病院などの様に診療圏の広い機関は今後の中長期的経営戦略を考えると、自院と2次医療圏を取り込んだ緻密な分析が必要になってくる。今までの様に単純な診療圏マップレベルのデータでは、これから厚生労働省が進めて行こうとする急性期病床の絞り込みや在宅の後方支援病床の確保や、病院の機能強化等再編の波に乗ることが出来なくなってしまうのと同時に、日々変化している地域環境の変化にも対応することが難しくなるでしょう。
つまり自院を中心とした周辺情報だけでは中長期的な経営分析が出来ないのです。分析をするに当たっては様々な要素を取り入れなければなりません。前述した様にまずは2次医療圏のデータベースは必要不可欠なものでしょう。出来ればそこにDPCデータを加味する事により2次医療圏にどの様な医療施設、介護施設(老人保健施設、特別養護老人ホーム施設等)があり、なおかつどの様な疾患の患者がどの様な地域に集中、分布しているのか自院から患者の集中している地域までの距離、疾患郡別での患者の分布等を把握したいものです。
このようなデータを基にした分析データを国土地理院のGIS(GeographicInformation System)の地図情報に載せて、知りたい情報項目を地域ごとにプロットし可視化することにより、現状が分りやすくなります。
いずれにしても地域ごとに広い領域での情報を駆使して分析を行う事が大事だと思います。
医療タイムス紙 平成25年8月10日 掲載