スタッフへの福利厚生費の使い方 ②
今回は福利厚生費的な意味合いも持つ、通勤手当について要点をまとめてみましたのでご参考にしていただければ幸いです。
法人の役員やスタッフの給与に加算して支給することの多い通勤手当には、所得税が課税されない非課税限度額(以下、限度額)が税法で定められております。この限度額を超えて通勤手当を支給する場合には超えた部分に所得税が課税されます。
マイカーや自転車等で通勤している場合は片道の通勤距離(通勤経路に沿った)に応じて限度額が定められております。例えば、片道2km以上10km未満なら4,100円、片道45km以上なら24,500円が限度額となっております。
一方、電車やバス等、交通機関のみを利用して通勤している場合は、1ヶ月間の通勤定期券の金額が基本となり、1ヶ月10万円が限度となります。
マイカーや自転車等に加えて電車やバス等の交通機関も利用して通勤している場合は、上記のマイカー等と交通機関の限度額を足した額で計算し、かつ1ヶ月10万円までが限度額となります。
なお、通勤の為の運賃・時間・距離等の事情に照らし合わせて、経済的かつ合理的な経路及び方法と認められるのであれば、高速道路等の利用料金や特急料金等(グリーン料金除く)も通勤手当の非課税分に含めて良いこととされています。
週1~2回出勤するような非常勤医師へ支払う通勤手当の取扱いですが、通常支払う給与とは別に通勤手当を支給している場合には通勤手当ではなく旅費交通費に準ずるとされています。この場合は実際にかかった旅費を精算するのであれば所得税の課税はされませんが、定額の渡しきりにしますと給与として課税されます。また、タクシーの利用ですが、深夜出勤や代替交通機関が無い等の特殊な事情がない限りは、タクシー代は給与として課税されます。
勘違いされている先生方もいらっしゃるかもしれませんが、通勤手当は必ずスタッフに支給しなければならない手当ではなく、また、法で定められている限度額を超える額や、下回る額を支給限度額にすることや、新幹線や高速道路等の特急料金等を通勤手当に含めるかどうかも事業主の裁量で決めることができます。
ポイントは就業規則等で通勤手当を支給する際の取り決めをしておくことです。しかし、一端取り決めをしてしまいますと、後で廃止することはスタッフへの不利益な変更となり相応の理由が求められますので注意が必要です。
クリニックの状況に合わせた通勤手当の取り決めをしていただき、スタッフが働きやすい職場の一助にしていただければ幸いです。
医療タイムス紙 平成25年8月1日 掲載