サービス付き高齢者住宅
2011年4月、高齢者住まいの法の改正を受けて「サービス付高齢者向け住宅」の登録が始まった。それにより「高齢者円滑賃貸住宅」、「高齢者専用賃貸住宅」、「高齢者優良賃貸住宅」は廃止になった。今後サービス付高齢者向け住宅は10年間で60万戸を整備していく方針が打ち出されている。
登録基準は、入居者に関しては
①単身高齢者世帯、60歳以上の高齢者または要介護・要支援認定を受けている者であること。
②高齢者+同居者(配偶者/60歳以上の親族/特別な理由により同居させる必要があると知事が認める者)。
規模・設備に関しては
①各住居部の床面積は原則25平方㍍以上
②居住部に、台所、水洗便所、収納設備、洗面設備、浴室を備えていること
③バリアフリー構造であること。
次に肝心のサービスですが、少なくとも状況把握(安否確認)サービス、生活相談サービスを提供となっている。
社会保障・税一体改革の中で揚げられている地域包括ケアシステムは、周知の通り医療・介護・予防・生活支援・住まいの観点から各分野の連携により高齢者に対し総合的な援助を目的としたシステムです。その中で住まいの分野でサービス付き高齢者向け住宅が大きな役割を受け持ってゆくことになるでしょう。現在もサービス付き高齢者向け住宅を計画中の民間業者が幾つかありますが、この場合どうしても医療施設との連携を探りながら構築をしていかなくてはならない。入居者は安否確認、生活相談サービスとは別に何かあった時の医療機関との連携への期待度が大きい。
今まで医療と介護の連携が重要であるといわれて来ました。厚生労働省の地域包括ケア推進指導者養成研究所の資料には「医療と介護の連携の実態」で、ケアマネージャーが困難に感じる点に医師との連携が取りづらい49.9%とあります。今後増加して行くサービス付高齢者向け住宅を、住まいを中心とした地域包括ケアシステムの中で医療・介護の連携をスムーズに運ばせるために医療機関自らが介護事業に参入されて医療と介護の一般的な提供をされ、地域包括ケアの充実を図ることも1つの戦略ではないでしょうか。
ただし都市圏と地方では高齢者人口に違いがあります。地域における医療機関の位置づけを確認しながら事業を展開されてはと思います。
医療タイムス紙 平成25年6月10日 掲載