お知らせ

医療法人の社員総会・理事会

 今回は医療法人の議事録についての話です。議事録の作成が必要となる会議は「社員総会」と「理事会」です。社員総会とはいわゆる医療法人の最高意思決定機関です。この「社員総会」は通常定款で年2回以上定時社員総会を行うこととされており、開催の都度議事録を作成・保存しなくてはなりません。
 この議事録ですが、社員総会理事会を開催した際に作成しておかないと困ることがあります。

 まず、医療法人は定時社員総会の議決をもって決算を決定します。また、定款に定められた理事の任期により2年に1度は社員総会にて理事の辞任、選任の決議を行い理事会にて理事長を選任しなくてはなりません。その他に、定款を変更する場合も社員総会の議決が必要です。つまり、社員総会、理事会の議事がなくては医療法人に義務付けられている「資産の総額の登記」、「理事長変更の登記」、「定款の変更の登記」ができなくなってしまいます。
 社員総会、理事会で議決されたことを証するものが議事録となり、これらの登記の際には議事録の添付が必要となります。これらの登記を怠った場合には医療法人の理事、監事等に20万円以下の過料が科せられます。この過料に関しては、延滞税などと同様に医療法人の損金とすることはできません。

 議事録の作成をしていなくて税務上とても困るのは役員報酬の金額を変更する時です。医療法人の税務調査では必ず税務調査官が「社員総会、理事会の議事録を見せてください」と言います。税務調査官は役員報酬の支給限度額などが医療法人の定款や社員総会、理事会の決議に沿っているかを確認します。その決議事項を確認できるものが議事録だからです。
役員報酬の金額を変更する際に社員総会の議事で「役員報酬の上限額」を、理事会の議事で「役員報酬の個別の支給額」を議決し、議事録を作成しておかないと税務調査で役員報酬を損金否認(経費として認められない)される可能性があります。また支給限度額を超えて支給していた場合、その超える部分が損金否認されてしまいます。
 
 いざという時にあわてないために、社員総会、理事会を開催し、必ず議事録を作成していただきますようお願い致します。

医療タイムス紙 平成25年1月10日 掲載