住宅医療へ連携強化
2000年4月に介護保険制度が導入されてから12年と半年(13年と半年)がたちました。介護保険導入の目的に社会的入院の解消があった事は周知の通りです。つまり介護を医療機関から在宅での介護に移行させる仕組みである。しかし重度要介護者の受け皿となる介護施設や介護職員の不足等により、在宅介護は十分とは言えない状況である。
12年7月度の介護保険事業報告(暫定)の都道府県別要介護(要支援)認定者数を見ると、全国合計では541万8851人、その内第一号被保険者が526万2359人で65歳以上75歳未満が66万8572人、同じく75歳以上が459万3787人となっている。第2号被保険者は15万6492人である。地域別では大阪府の40万4249人、東京都の48万278人、神奈川県の30万4113人と大都市の人数が多くなっている。
要介護度別では要支援1が70万8817人、要支援2が72万7612人、要介護1が99万3086人、要介護2が96万5669人、要介護3が73万1948人、要介護4が67万8021人、要介護5が61万3698人で要介護1、2、3の人数が多いが、特に医療を必要とする要介護4、5も少ない訳ではない。
厚生労働省医政局指導課による「在宅医療・介護あんしん2012」では施設中心の医療・介護から、可能な限り、住み慣れた生活の場において必要な医療・介護サービスが受けられ、安心して自分らしい生活を実現できる社会を目指すとしている。
つまり医療と介護の連携の強化が必要であり、地域包括ケアシステムの真の実現化が急がれる。求められる事は生活支援・介護予防から介護へ、介護から在宅医療への機能連携強化である。
介護に関する現状を見るに特養、デイサービス、ショートステイ等の介護施設利用状況や訪問介護等の充実強化は肌に感じられるが、在宅医療に関連して新規開業診療所や既存の診療所を見ても、積極的に取り組まれている医療施設があまり見られない。医院での人材確保や運用面での難しさもあるかと思うが、特にこれからは調剤薬局も含め医療機関のさらなる在宅医療への取り組みが必要であると思います。
医療タイムス紙 平成24年11月1日 掲載