住宅取得をお考えの方に
平成24年8月に消費税増税を柱とする社会保障・税一体改革関連法が成立しました。医療業界では次回報酬改定で消費税分診療報酬が上がるのか注目が集まるところですが、一方でこの増税前に住宅取得を検討中の方もいらっしゃることと思います。その資金準備の方法として、ご親族から資金援助を受けることも多いのですが、忘れがちなのがこの資金援助に対する税金です。例えば、1,000万円を援助していただく場合には通常231万円の贈与税負担が生じます。そこで今回は資金援助をしていただく際の税制や特例について解説致します。
【贈与税の計算方法】
まず贈与税の計算方法について2通りご説明します。
①暦年贈与・・・1年間の贈与金額から基礎控除(110万円)を超える金額に税率(10~50%)をかけて計算します。
②相続時精算課税・・・原則65歳以上の親から20歳以上の子への贈与の場合特別控除2,500万円までは課税されず、2,500万円超の部分には20%の税負担。名称の通り、この制度を利用して資金援助を受けた金額や支払った税金は、相続税に加算し相続税の計算をします。
親から1,000万円の援助を受けた場合、暦年贈与では231万円であった贈与税が、相続時精算課税を選択することで、この年には無税で受取ることが可能です。
【住宅取得資金贈与の場合の特例】
親や祖父母からの住宅取得資金の贈与に限っては、贈与税の非課税特例(最大1,500万円、毎年で異なります)があります。この非課税特例は前述の贈与税控除額と併用可能なため、表のように金額をさらに拡大することが可能です。
今回はポイントとなる部分の解説を致しましたが、制度要件を満たしていることや、制度利用によるデメリットなどの確認が必要です。実際に活用される際は、事前に税理士等の専門家へご相談下さい。
耐震・エコ住宅の場合の控除額(一般住宅の場合は下記表より500万円減額)
贈与税控除額 平成24年 平成25年 平成26年
暦年贈与(110万円) 1,610万円 1,310万円 1,110万円
相続時精算課税(2,500万円) 4,000万円 3,700万円 3,500万円
医療タイムス紙 平成24年9月10日 掲載