電子カルテの導入に向けて
私が新規診療所の開業をお手伝いする仕事を始めたころは、開業時より電子カルテを導入する施設はそれ程多くはなくて、レセプトコンピューター(レセコン)の導入がほとんどでした。レセコンが増え始めたころはベンダーが開発したものがほとんどで、長野県では2大ベンダーが市場を占有していたといっても過言ではありません。現在では日本医師会が日医標準レセプトソフトウエアのORCAをオープンソースで無償登場させました。ベンダーからするとレセコン機能の開発経費が要らない事から、ORCAとの連動型電子カルテが増えています。
新規開業の場合はほとんど導入されているが、既存診療所の電子カルテの導入状況はあまり進んでいなくて導入率は20%程度です。進まない理由で多いのが、PCを操作しながら診察への専念と患者さんとのコミュニケーションが上手く行かないのではというものです。他にも高額な導入価格、導入時に手間がかかる等が上げられると思われます。しかし電子カルテ導入のきっかけになる条件は大分増えて来たと思います。それは周辺医療機器に於ける検査データのデジタル化システムの進歩や、医院の若い医師への継承時点での電子カルテ導入検討の増加等です。
電子カルテの導入に向けて準備を進めてみてはいかがでしょうか。電子カルテメーカーも様々ありますからそれぞれの特徴をしっかり把握し、自院の運用に合致しなおかつ使い勝手の良さ、地元基幹病院との連携構想やその確実性等を見極めなければなりません。現在保有されている医療機器との連携の相性確認、そして最も重要なのが導入後のサポート体制です。診療中の偶発的なハングアップ時の対応、データの確実なバックアップなどです。導入に当っては2社以上の電子カルテを検討される先生が多いです。デモと細かい説明をメーカーからしっかり受けてください。大変ですがじっくり検討されて診察に役立てましょう。
医療タイムス紙 平成24年9月1日 掲載