医療法人の登記
前回は医療法人の届出について確認しましたので、今回は医療法人の登記について再確認したいと思います。
医療法人が登記をしなければならないのは大きく分けて①設立登記②所要の変更登記③解散、合併、清算人の就任・変更、精算結了の登記 の3つとなります。①、③については設立、解散・精算と登記の頻度は少ないですが、②については内容によっては毎年行う必要がありますので、ここでは②についてお話しします。
変更登記の具体的な例としては、次の通りです。
1、定款又は寄付行為の変更の許可を受けた登記事項の変更(随時)
医療法人の名称変更、事務所の所在地の変更、分院の開設、付帯業務の追加 などがあった場合には変更の登記が都度必要となります。
2、資産の総額の変更(毎年)
毎会計年度終了後2カ月以内に財産目録に記載された資産の総額の登記が必要となります。この際に使用する財産目録については、前回に記載した通り、毎会計年度終了2カ月以内に作成し、3カ月以内に都道府県知事等に届出を行うとされています。このことから、財産目録の作成と登記は同月内に行うことが必要ということになります。
3、理事長の変更(基本2年に1度)
医療法人の役員(理事)の任期は2年を超えることはできないとなっております(医療法46の2③)。ですから2年に1度は理事が変更となります。ただし、重任(同じ人が再び理事として選ばれる)することが可能です。一人医師医療法人の場合、理事長であるところの院長先生が任期満了後も理事長を重任することが大半であると思います。
その場合でも、一度理事長の職を退き、理事会の決議で再度理事長に選出されるので、理事長を変更したということになります。 ですから、通常、2年に1度理事長の変更登記をしなければなりません。
登記手続きを怠った場合には、法務局からの登記懈怠通知を受けた裁判所が過料に処する決定等を行うことがありますので、ご注意ください。通常、6カ月ほどの遅れで3万円程度の過料が来ることが多いようです。
上記2、3について登記を行っていない事例がよく見られますので全部事項証明書などにより一度確認されることをお勧めします。
医療タイムス紙 平成24年8月10日 掲載