医療法人の決算後届出
先日、医療法人で診療所経営をなさっている先生とお話している中で、医療法人の決算後の届出、登記の話になり、とても驚きました。その医療法人は医療法人設立後、決算後の保健所への届出、登記を1度も行ったことがないというのです。そこで今回は医療法人の届出について再確認したいと思います。
決算後の届出についてですが、医療法人は毎会計年度終了後2ヶ月以内に事業報告書、財産目録、賃借対照表、損益計算書等を作成しなければならないとされています(医療法51①)。これらの資料を作成後、医療法人の理事より監事に書類を提出し監事が内容を精査したうえで監事の監査報告書を作成します。(医療法51②、46の4⑦三)
また、作成された書類(事業報告書等、監事の監査報告書)は毎会計年度終了後3ヶ月以内に保健所に提出しなくてはならないとされています(医療法52①)。
この規定に違反して都道府県に書類の提出をしなかったり、虚偽の届出をした場合には、20万円以下の過料に処されることがあります(医療法76①三)。
保健所に提出された事業報告書等は平成19年4月の医療法改正により、医療法人の透明性の確保を図る観点から、提出された事業報告書等が閲覧の用に供されることになりました。つまり、都道府県(保健所)に行って閲覧請求すれば誰でも1年間の経営成績が記載された書類を閲覧することができるのです(医療法52②)。
私たちが最近ご契約をさせていただいた医療法人は、税務申告時に作成した決算書の損益計算書と貸借対照表をそのままコピーして保健所に提出していました。提出には支障がないのかもしれませんが、閲覧されたことを考えると、役員報酬の総額や所有資産の細かい科目まで閲覧されることになってしまいます。これらの書類は必要事項が記載してあればよく、細かい科目まで必要としませんので提出の際には専用の書式を利用し必要最低限の記載にとどめることをお勧めします。
医療タイムス紙 平成24年8月1日 掲載