福利厚生費の有効活用
医療経営においてマンパワーは重要な経営資源であると言われます。そのためにも大切なスタッフが気持ちよく能力を発揮してくれるように有効に活用したいのが「福利厚生費」です。
従業員のモチベーションの向上を期待できる福利厚生費ですが、利用の際には注意も必要です。内容によっては接待交際費と見なされ、法人の場合一部経費にならなかったり(平成25年税制改正後 中小企業の交際費は800万円まで全額損金可能)、給与としてお金を支給していなくても税法上従業員に対する給与として従業員の源泉所得税の対象となったりすることがあります。
具体的な例として、これからの時期行われることの多い納涼会や、忘年会、新年会の費用を福利厚生費とするためには、
①全社員を対象として(やむを得ず参加できない方を除く)
②医院の費用負担が一律で、社会通念上高額でない-ことが条件となります。
参加者が一部の方となる二次会、三次会などは接待交際費として扱われます。
また、社員旅行についても判断基準があり、①旅行期間が4泊5日以内であること、(目的地が海外である場合は目的地における滞在日数)②全従業員の50%以上が旅行に参加すること、の二点が要件となります。参加者を役職によって限定したり、50%に満たない一部の方での参加の場合は、医院が負担する社員旅行の費用が従業員の給与と見なされて源泉所得税の対象となってしまいます。
社員旅行でよく見られるのが、参加できなかった従業員に旅行費用に代わりに金銭を支給するケースです。これは従業員の間に不公平感がないように、という院長先生の配慮だと思われますが、給与として源泉所得税の課税対象となってしまうことはあまり知られていないようです。
医院都合で参加できなかった方に金銭を支給する場合には、支給された方に対して課税対象となります。自己都合で参加できない方に金銭を支給する場合には、支給された従業員だけではなく社員旅行に参加した従業員も支給された金額と同額が課税対象となりますのでご注意ください。
福利厚生費を上手く使い、従業員満足度を向上させたいものです。
医療タイムス紙 平成24年7月10日 掲載