扶養控除の取り漏れにご注意
“医院の点検のすすめ”で確定申告(青色決算書)の点検方法を掲載させていただきました。今回は引続き確定申告書(所得税の確定申告書)の点検、特に所得から差し引かれる金額(扶養控除、医療費控除)をテーマに取り上げます。
今年は前年の申告に比べ、税金が増えたという方が多い年でした。税額が増えた理由の一つに所得から差し引かれる金額(確定申告書の左下)の扶養控除の対象者が改正されたことが上げられます。具体的には、0歳~15歳以下:38万→0円、16歳~22歳:65万→38万に減額されました。例えば10歳、8歳、5歳のお子様がいる家庭では、扶養控除が38万×3人=114万が0円になり、結果税額は所得税率40%の方の場合で、45.6万の増税となりました。(児童手当になり所得制限が設けられると増税分の方が多い方も出てくると思います。)
そこで、今一度扶養親族の考え方を確認していただき、扶養控除の対象になる方がいないか、その方の医療費を控除できないか、確認していただきたいと思います。
◆扶養控除の見直し
扶養控除というとイメージするのが同居している子供や両親ですが、同居していなくても生活費分として仕送りをしていれば生計一(家計を一緒にしている)になり、扶養控除の対象となります。一般の扶養控除は38万ですが70歳以上の方を扶養する場合は10~20万の上乗せがあります。対象になるかの判断は、年間の所得がポイントです。年金以外の所得がない方の場合、65歳以上の方は年金受給額が158万円以下、65歳未満の方は年金受給108万以下であれば対象となります(遺族年金は年金に含めず非課税扱い)。見落としがちなのが別住まいの奥様のご両親に仕送りをされている場合等です。控除される際には他のご兄弟で控除されていないか等、念のためご確認下さい。
◆医療費控除
医療費控除も生計一のご両親の医療費は対象になります。自費の入れ歯、通院のための電車、バス代といった費用も対象となりますので、領収書をもらえない通院費はメモなどで記録を残しておきましょう。また介護費も入所施設費のように対象になるサービスがあります。特別養護老人施設(介護費、食費、居住費合計の1/2が対象)であれば3万円程/月となりますので、医療費控除の対象となる年間10万円超を超えやすいと思います。
このように扶養の確認から所得を減らすなどもできます。リフォームの内容によっては税額を減らす効果が期待できます。この機会に家族と話し合い、来年の申告に向けて控除の取り漏れがないよう点検していただければと思います。
医療タイムス紙 平成24年5月20日 掲載