院内で育てるコミュニケーション力
昔に比べて、医療はサービス業であるという認識が世間では広く浸透してきております。
患者さんやその家族からのスタッフの接遇に対する目は厳しくなってきており、患者さんがクリニックを選ぶ重要な目安の一つとされています。
これは単なる治療目的の来院、つまり「治癒・快復」という結果重視から、クリニックから提供される全ての事柄で評価される時代になってきている事を指しているかと存じます。
医療機関を訪れる方々は何らかの不安を抱えて来院されています。その為、普段以上に心身共に支援を求めている事が多く、その負担や不安を解消してくれるだろうと大きな期待を持っていることが殆どです。
ただ、それを受け入れるクリニックのスタッフは、日々の業務に追われ、また繰り返しの対応の慣れにより、心情的に患者や家族の心情を推し量りながらの対応ができず、結果としてコミュニケーション不全を起こし不満を持たせてしまうことがございます。
私も実際、子供の怪我の治療の為、初めて保育園の指定で行ったクリニックで、対応した事務員の対応に大きな不満を持ち個人的には二度と行かないと感じたことがありました。仕事柄、どうしてもスタッフの対応に対して一般の方々よりも厳しく見てしまうとは思いますが、自分が関わるクリニックであれば絶対にさせない様な対応でした。
具体的には
・来院しても挨拶しない
・笑顔もなく事務的な対応
・私達がいるのに平気で私達の事について大きな声で話す
・保育園で聞いている事を聞いていないとこちらを責めるような口調と内容
子供や他の患者の手前、冷静に対応することに努めましたが、もう少しでクレームをつけてしまうところでした。
平日の午後だったのですが、そのクリニックは標榜科目の割には患者さんがおらず閑散としていました。恐らく、一般の患者さんの中にも私と同じ思いを抱いた方々がいらっしゃったかもしれません。
コミュニケーションも初めてお会いした時が一番重要と言われています。
このクリニックの先生が何故最近患者が少ないのだろうと感じていても、この事務員の対応に気づかなければどんなに本来の医療で頑張っても患者は増えることは無いのではと存じます。
それほどまでに、最近は接遇が重要視されています。
接遇で一番大事なコミュニケーションですが、大きく二つに分けますと、言語的と非言語的に分類することができます。
①言語的コミュニケーション
挨拶、返答、話し方、言葉づかい(職員間含む)、敬語、電話応対
②非言語的コミュニケーション
表情、聴き方、視線、動作、案内、受け取る動作、電話を受ける姿
非言語的コミュニケーションは直接の会話や関わりがなくても、その場に居合わせた全ての方々の目に触れます。自分で無意識に行っている動作でも、ついつい気配りが疎かになった言動も患者達は良く見ている点にご注意いただければと存じます。
そして、非言語的コミュニケーションで一番大事なポイントは身だしなみです。スタッフの身だしなみは、初めて訪れる医療機関の第一印象を決めてしまう事がありますので、定期的に身だしなみのチェックやルールを見直すことをお勧めいたします。
また、接遇で一番大事な事は、「意識」をして対応することです。
気持ちにより添う姿勢、相手に合わせた言葉の選択、親密さの度合い、関心のあることから話す等を
日常で意識的に実践することで、習慣化し無意識にできるようになります。
決められた事を、繰り返して実行することを徹底してみることで意識が向上し、気づきが生まれ、自主性に繋がります。
今まで特に接遇をいしきされていらっしゃらない先生がいらっしゃいましたら、一度、スタッフや先生ご自身の接遇を見直されてみてはいかがでしょうか?
資料ダウンロードに2013年6月4日号の医業経営マガジンをアップしました。こちらに「院内で育てるコミュニケーション力」のポイント解説が載っています。
是非、ご活用下さい!!