私どもでお手伝いしている先生方に診療所経営に当たり何に一番困っているかというお話をした際に良く出てくる問題は労務関係です。どんなに診療所の経営が順調な先生でも従業員さんとのトラブルや院内の人間関係などにお悩みの先生方が非常に多いと感じています。
　今回は、年度末・新年度で従業員さんの移動が多い時期になりますので、私どもによくご相談いただく事項についてお話したいと思います。

　入社時
Q：従業員を雇用する際に契約書は作成したほうがよいですか？
A：作成していない診療所も見受けられますが、後後言った言わないの話にならないよう、医院と従業員さんがお互いに気持ちよく仕事をするために労働契約書は作成していただくことをお勧めいたします。
Q：労働契約書に記載する事項を教えてください。
A：労働に関することを労使間で契約する書類です。後のトラブルを防ぐため、必要事項を漏れなく記載しておくことが必要です。記載事項は
①雇用契約期間の有無
②就業場所、及び従事する業務の内容
③始業・終業時刻と休憩時間、所定休日、休暇
④所定労働時間を超える労働の有無
⑤賃金の決定・計算・支払の方法、及び締切日と支払日
⑥退職に関する事項
⑦契約更新の有無
⑧契約更新有りの場合はその判断基準と雇止め事由
⑨賞与支給の有無
⑩退職金支給の有無
⑪昇給の有無
　さらに、出来れば雇用保険、社会保険の加入について明記しておくとトラブル防止に役立ちます。
　従業員さんとの最初の契約書は契約期間の定めの有る（試用期間の有る）契約にしていただくことをお勧めします。

Q：その他に準備したほうが良い書類はありますか？
A：前期のほか、準備しておいたほうが良い書類は
①看護師、衛生士などの資格証明書
②健康診断書
③マイカー通勤許可申請書
④通勤経路図
⑤秘密保持契約書
⑥口座振替依頼書（給与振込の通帳）
⑦給与所得者の扶養控除等（異動）申告書
⑧前職の源泉徴収票
⑨雇用保険被保険者証
⑩年金手帳（厚生年金加入者の場合）
⑪健康保険扶養者（異動）届
⑫身元保証書
⑬誓約書
です。

診療所により必要書類は異なります。詳しくは社会保険労務士などにご相談ください。

医療タイムス紙　平成24年4月1日掲載